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質の高い情報を得るには【情報リテラシー向上×お金】

情報量の爆発的増加

困ったらググる。

私たちは、情報技術の急速な進展によって、知識と情報が指先一つで簡単に手に入る「情報爆発の時代」に生きています。この変化は、20世紀後半のインターネットの登場と、21世紀に入ってからのスマートフォンの普及によって加速されました。かつては図書館で何時間も費やして調べ物をしていた研究や情報収集が、今では数クリックで済むようになりました。この便利さは計り知れないものがありますが、同時に、情報の質を見極めることの難しさも増しています。

「ググる」行動の背景

「困ったらググる」という行動が一般化した背景には、即時性とアクセシビリティの高さがあります。Google検索の登場以前、情報は書籍や専門誌、教育機関など限られたソースからしか入手できませんでしたが、今や検索エンジンを介して誰もが幅広い情報にアクセスできるようになりました。
この文化的シフトは、知識へのアクセスを民主化しましたが、同時に情報の信頼性確認の必要性が高まりました。

情報の氾濫が引き起こす課題

21世紀に入ると、情報の質よりも量が優先される傾向が強まり、その結果として無価値な情報や誤情報が氾濫する状況が生まれました。この情報の海を効率的にナビゲートするためには、高度な情報リテラシーが必要とされるようになります。

私の経験からの知見

私の過去の経験から、情報の質と価値についての理解が深まりました。
初めて気づいたのは大学時代でした。論文を調べるにあたり、有料の論文と無料の論文とでは内容の深さが異なることを実感しました。私は有機化学を研究していましたのでその実体験になりますが、無料で読めるものと言えば初歩的な教科書に書いてあるものという印象でした。研究に使う情報は有料のものでした。この経験が私の今の考えの基礎を作ったと言っても過言ではありません。必要なものには投資するということです。

次に、社会人になってからは、新聞を例に情報の質と価値の関係を理解する機会がありました。定期購読の紙新聞が毎日家のポストに入っていました。デジタルの新聞、日経や朝日も有料です。お金を払って得る情報というわけです。無料で配られるチラシ等では、到底このレベルの情報を得ることはできません。テレビもまたしかりです。

さらに前職の企業教育を通じて、自分で簡単に手に入れられる情報とお金を払って得られる情報の質の差を体感することができました。前職で年に一度、参加する機会があった勉強会は、常に無料のものでした。最初は「無料で本当に価値があるのか?」と半信半疑でしたが、実際に参加してみると、私の予想通り、その内容はインターネットで簡単に手に入る情報や、一般的な知識に過ぎませんでした。世界中の誰もが簡単にアクセスできる情報を共有しているだけでは、本当の意味での学びや成長は望めないのです。そうした経験は、組織としての人材育成の表面的な取り組みを、皮肉ながらも明確に示していると感じました。これに対し、以前勤めていた大手企業では、有料の勉強会への参加が奨励されていました。有料であるからといって必ずしも品質が保証されるわけではありませんが、そこで得られる知識や洞察は、明らかに自分だけでは到達しえない領域にあることが多く、それが真の学びへの投資だと実感しました。

無料の勉強会やインターネット上の情報が提供する「知識」は、しばしば表面的であり、深い理解や専門的な洞察には至らないことが多いです。これは、情報の質と深度を確保するためには、ある程度の投資が不可欠であるという事実を浮き彫りにします。
加えて、有料の情報こそが最新の知見や顧客ニーズを反映した「現場密着型」の情報であることが多いと実感しています。無料情報はその時点での一般的な知識にとどまりがちですが、有料情報はよりタイムリーな気づきやアイデアを提供してくれるケースが多いのです。この差こそが、真の意味での新しい学びにつながるのでしょう。

情報リテラシーの重要性

ただし、有料であればいいということは決してありません。ここには情報リテラシーという考え方もまた必要になってきます。
情報リテラシーとは、情報を効果的に見つけ、評価し、使用するための能力です。このスキルは、現代社会において非常に重要であり、特にインターネットがあふれる情報の海の中で賢明な選択をするために不可欠です。情報リテラシーを高めることで、私たちは次のような能力を養うことができます。

1.情報の出所を評価する

情報源が信頼できるかどうかを判断するためには、その出所を考慮することが重要です。
例えば、公式機関や専門家によって提供される情報は、一般のブログや掲示板の投稿よりも信頼性が高い可能性があります。

2.情報の偏りを識別する

すべての情報にはある程度の偏りがあります。情報を扱う際には、その内容が特定の視点や利益に基づいていないかを常に考慮する必要があります。
このプロセスを通じて、よりバランスの取れた視野を持つことができます。

3.情報の品質を判断する

情報の品質を評価するには、その正確性、完全性、関連性、そして時宜を得た性質を検討することが重要です。高品質の情報は、根拠に基づいており、最新の知見を反映しています。

4.情報を批判的に考察する

受け取った情報を鵜呑みにせず、批判的に考察することで、その価値を正確に評価することができます。これには、情報の背後にある意図や、提供された証拠の強度を分析することが含まれます。

情報リテラシーを高めるためには、これらのスキルを日常生活において積極的に実践することが重要です。情報を受け取った際には、その信頼性を疑い、複数の情報源を参照し、様々な視点からその内容を評価するように心がけたほうがいいですね。

情報リテラシーは、質の高い情報を見極め、有益な知識を得るための鍵です。この能力を高めることで、私たちは情報があふれる現代社会において、より賢明な選択をすることができるようになります。これは、個人の成長だけでなく、社会全体の知識レベルの向上にも寄与するでしょう。

おわりに

ここまでいろいろ書いてきましたが、この時代の変遷と、情報の質を見極める能力の重要性を踏まえることで、私たちはより有意義な知識を得るための選択をすることができます。

もし多くの人が今でも無料の情報を鵜呑みにしているとしたら、今回紹介したような意識的な選択が、個人の成長だけでなく、社会全体の知識レベルの向上にも寄与するだろうと思います。


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