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新型コロナの発症経過例

 松村邦洋さんが年末に新型コロナに感染したと知りました。基礎疾患もありそうでしたので心配していましたが無事に退院されたようです。自身の体験をYoutubeで語られたそうでそのまとめが記事になっておりました。"松村邦洋、新型コロナの恐ろしさ語る「もうちょっとで危なかった」「コロナはただの風邪じゃないです」"  体験例として時系列もまとまっており参考になる例と思いましたので少しまとめたいと思います。

前回紹介したBMJの論文の図と比較してみてください。

F2.mediumのコピー

・26日(0日)が発症日とします。ここで抗原検査をしたもののまだウイルス排出が少なく検出できなかったと考えられます。簡便で迅速なものの早期では見逃しがあるわけです。また26日(感染初期)に朝に高熱だったものの熱が一旦下がっています。一旦解熱しても経過を注意すべきってことです。
・28日(2日)に舞台出演者の検査として唾液でのPCR検査を実施しています。ここでは自覚症状はなかったのでしょう。
・29日(3日)に微熱が出ました。初期症状だと思われます。病院でPCR検査(結果は翌日に陽性)。晩に前日の検査結果で陽性報告。
・30日(4日)自宅療養。咳や痰が増え呼吸が苦しくなる。
・31日(5日)体調が改善せず
・1日(6日)体調改善せず 入院開始 肺炎の診断

上の図と比較してもらうとかなり合致していますね。個人差はあるもののだいたいこんな感じで進むのでしょう。4日目に咳や痰が増え息苦しくなり5日も改善せずとあります。咳や痰が出て息苦しいってのは重要なサインです。ここで我慢しない(異常があれば病院に頼る)ことが大事です。保健所のコーディネートで無事に医療機関に診断してもらえればいいのでしょうが現状ここが難しくなっています(春は春で酷かったようですが)。実際に肺炎になっています。
 記事中に「『発症から7日目、早くて6日目に発作のような症状が出ることがあります』と。『6~8日目くらいに症状が出ますので、それがなかったら大丈夫です。それがある人は重症になります』と」とあります。この発作とうのがどういうことを具体的に指しているのかはわかりませんが、上の図でもわかるように多くの場合では6~8日目が回復するか重症化するかの天王山です。松村さんは肺炎にはなったものの運良く重症化を免れたわけです。比較的早期の治療開始が良かったのでしょう。もう少し遅ければ大変だったかもしれません(十分苦しかったでしょうけど)。
 1日以降は治療が入り経時的な情報は少ないですがステロイド療法などをしていたことがわかります。ステロイドの使用は一般的になっているのでしょう。ただ心配なのは重症者が多い大都市では治療件数も増え様々なケースに対応するノウハウが溜まってきている一方、地方の医療機関にノウハウが伝わっているのかということです(ECMOに関しては新型インフルでの経験から症例共有がだいぶ進んでいるようです)。感染症専門医もおそらく分布に偏りがあるでしょう。平時なら手薄な地方から大都市の病院に転院もできるでしょうがこの状況下では難しいと思われます。大都市では医療機関に空きがなく地方都市では余裕があってもノウハウがないでは大問題です。

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