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【2020年版】漫画家が漫画を描いてお金を稼ぐ方法まとめ

漫画を発表するハードルもお金を稼ぐハードルも、どちらも下がり続ける漫画家戦国時代

このnoteは、漫画家さんたちが漫画家としてのキャリアを選択する上で必要な情報をできるだけ分かりやすくオープンにしていくことを目的とする「令和時代の漫画家たちはどう生きるか」というマガジンに収録されるものです。

今回は、2020年現在において漫画家さんたちが漫画を描いてお金を稼ぐ方法について書いてみたい。

その方法は僕の観測範囲内で4つほどあり、それぞれメリット・デメリットを踏まえて解説していこうと思う。

※あくまで個人の観測範囲内での解説なので、過不足などあれば随時アップデートしていく予定

①商業誌(雑誌)でお金をもらって漫画を描いて稼ぐ

最も一般的な方法。出版社が10-20ほどの連載枠を持つ雑誌媒体で、売れる漫画を作るためにそれぞれの特性に合った漫画家が連載に向け日々奮闘している。

『鬼滅の刃』や『進撃の巨人』、『3月のライオン』など、大ヒットすれば一生分のお金を稼げる一方で、人気がなければ数週間で打ち切りなどの判断が下されるシビアな世界だ。挑戦できるなら一度は挑戦しておいた方がいいと思う。

【収益ポイント】
・原稿料(出版社によってページ単価がざっくり5000円〜2万円と大きく変わる。場合によってはこれより安いものも高いものもある)
・印税(販売価格の10%が基本相場。これより安いものも高いものもある)
・二次使用料(グッズ収益やアニメ化の際の使用権など、%はものにより様々)

【メリット】
何より安定した原稿料と単行本の発行部数に応じた印税が入ってくるのが大きい。大手出版社なら原稿料は1万円を超え、単行本を数万部単位で発行できるため、原稿料だけでなく印税もある程度見込める(出版社によっては原稿料も発行部数も下がることがある)。漫画編集者と二人三脚で作品づくりをするため、漫画制作の基礎体力が磨かれる。出版社の持つリソースを活かしたメディアミックスにも期待ができる。地味に締め切りがあるのもありがたい。

【デメリット】
連載までに1年掛かることもざらにあり、その期間は無収入。しかも、時間を掛けて連載準備をしたものの即打ち切りの可能性がある。漫画編集者との相性が悪ければ連載準備の期間を無駄にしてしまう可能性もゼロではない。(が、正直漫画家を目指す方で、商業連載ができるというのはある種のお墨付きでもあり、あまりデメリットに感じる必要はないと思う)

②商業誌(Web・アプリ)でお金をもらって漫画を描いて稼ぐ

最近よくあるWeb媒体やアプリでの漫画連載。Web・アプリの媒体として有名なのは、コミックDAYS(講談社)や少年ジャンプ+(集英社)、マンガワン(小学館)にピッコマ(ピッコマ)などが挙げられる。

それぞれ『パリピ孔明』(四葉夕ト/小川亮)、『SPY×FAMILY』(遠藤達哉)、『ケンガンアシュラ』(サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん)、『俺だけレベルアップな件』(Chugong)など、順調にヒット作を生み出している。最近では、最新話の公開時には必ずTwitterのトレンド入りする『僕の心のヤバイやつ』(桜井のりお)、通称「僕ヤバ」もWebメディアでの連載だ。

ぶっちゃけ今のメインストリーム(一番可能性がある道)はこのWeb媒体やアプリでの連載だと思うし、個人的にもここで勝負することをおすすめする。一方で、紙のように連載枠が限定的ではないので、連載数は多く更新頻度がまちまちのものも少なくなく、玉石混交感は否めない。

【収益ポイント】
・原稿料(出版社によってページ単価5000円〜2万円と大きく変わる。一般的には雑誌連載よりも割安のところが多いと言われている)
・印税(販売価格の10%が基本相場。これより安いものも高いものもある)
・二次使用料(グッズ収益やアニメ化の際の使用権など、%はものにより様々)

【メリット】
安定した原稿料と印税。上記に挙げたような大手アプリや媒体であれば雑誌媒体に近い水準の条件が期待できる。紙の本もまぁ出ることが多い。最近はデジタルシフトも激しいため、打席に立つチャンスがあり紙の単行本に大きなこだわりがなければ積極的に挑戦したほうがよい。

【デメリット】
ヒットが見込めないと判断された場合、紙の単行本が発行されない可能性がある。また、媒体自体が玉石混交のため連載する媒体は吟味する必要あり。「原稿料」「印税率」「紙の単行本の出版可能性」「電子書籍の出版可能性」「書籍化しなかった場合の著作権の所在」などの条件は事前に客員しておいたほうがよさそう。

③原稿料をもらわずに好きな漫画を描いて稼ぐ

TwitterやInstagram、pixivFANBOXといったSNS(オープン/クローズ問わず)や、同人即売会用にオリジナル漫画を発表し、自費出版&電子書籍化するスタイル。同人作品の電子書籍化については、ここ1-2年で市民権を得てきたように思う。

手前味噌ながらナンバーナインのデジタル配信サービスもその一端を担っており、弊社が電子書籍化のお手伝いをした『うちの会社の小さい先輩の話』(斎創)、『サラリーマンが異世界に行ったら四天王になった話』(ベニガシラ)、『女の裸を生で見たい』(西沢5㍉)などはKindleランキングでも上位に食い込む人気作だ。最近では、Twitterで投稿した漫画が商業メディア連載に至ったり、単行本化することも一般化しつつあるので、まずは自分のペースでTwitterに投稿してみるといいかもしれない。

このカテゴリについては、商業漫画に親しみのある読者にとってはあまり聞き慣れない漫画家さんがいるかもしれないが、それぞれ同人誌や電子書籍化を自身で行うことでしっかり収益化ができつつある。商業主体で活動する漫画家さんたちとは異なる生態系にいると考えても良い。

【収益ポイント】
・同人誌売上(ほとんど中抜きをされないため売上の高い比率が作家収益につながる)
・電子書籍印税(Kindle専売などでなければ販売価格の20〜40%が相場)

【メリット】
何にも縛られずに自分が描きたいもの(第三者からのボツが基本ない)を、描きたい時に(締切もない)、描きたいだけ描くことができる(ページ数の制約なし)。電子書籍については30Pからでも配信が可能なので、短期的な収益化も見込める。それで人気が出れば商業連載作家と同等かそれ以上の収益化を見込める。

【デメリット】
好きな時に好きなだけ描ける一方で、スケジュールなどすべて自己管理をしなければいけない。原稿料での収入が見込めないため、作品が売れなければ収益化は難しい。漫画編集者と作品を作りたいと考える方にとっては辛い可能性あり。同人誌は売れなければ在庫を抱えるリスクも。また、ファンが付いてるかどうかが大きなポイントになるため、「いかに人気を獲得するか」を考えるセルフプロデュース力も問われる。(プロデュース面を考えてくれるビジネスパートナーがいると強いかもしれない)

④原稿料をもらってTwitter上で漫画を描いて稼ぐ

③がすべて個人で行うのに対し、こちらは漫画編集者や出版社などが原稿料を支払いガッツリ関わって作っていくスタイル。Twitterで発表し、まずは小さく電子書籍化を行い収益化を目指すことになるだろう。現在ナンバーナインが取り組んでいるのもこの形式。

僕が現在担当している地球のお魚ぽんちゃん氏の漫画『一線こせないカテキョと生徒』は、Twitterを発表場所にし、毎回原稿料を支払って連載を続けていただいている。媒体を作るのではなくTwitterを媒体とするスタイルなので、作者のTwitterフォロワーが最初の想定読者となる。

【収益ポイント】
・原稿料(金額によって電子書籍の印税を調整 ※作者と相談の上決定)
・電子書籍印税(相場としては販売価格の15-20%)
・紙本の印税(作品によって変動)

【メリット】
個人活動に近い形で、かつ原稿料をもらいながら漫画制作ができる。メリ・デメ両面あるかもしれないが、編集者と一緒に作品作りができる。電子書籍については約50Pくらいから配信が可能なので、短期的な収益化も見込める。いろんな企画の漫画が描きたい多作家向けのスキーム。

【デメリット】
紙の本が出ない可能性が高い。Twitter連載ということもあり、フォロワー重視の傾向が少なからずある(といっても、内容を見ずにフォロワー数やバズだけを見て近づいてくる編集者には要注意)。メリ・デメ両面あるかもしれないが、いわゆる商業誌での掲載ではない。掲載媒体の特性上、相性がいいのは4P漫画のため骨太長編漫画や歴史大河ロマン的な漫画、スポーツ漫画づくりには向いていない(異世界・ラブコメ・キャラもの多め)。

ここから先は、補足的な内容を少し書いている。完全に個人的な活動として本マガジンを執筆しているので、これまでの情報が有益だと思った方は僕のTwitterアカウントをフォローしつつ、支援の気持ちで先に進んでもらえると嬉しい。

筆者のTwitter: https://twitter.com/coroMonta

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