DLsite.Luz.#23 蛙が自身で唄った謡

はい、次はぼくもすきなアイヌ神曲(民謡)を紹介します。

面白いので......
ちょっと文字数が少なめですが、よろしくお願いします。

          アイヌ民謡

「蛙が自身で唄った謡」

トーロロ ハンロク ハンロク!
トーロロ ハンロク ハンロク!
ある日に、草原を飛び廻って
遊んでいるうちに見ると、
一軒の家があるので戸口へ行って
見ると、家の内に宝の積んである側に
高床がある、その高床の上に
一人の若者が鞘を刻んでうつむいて
いたので、私は悪戯をしかけようと思って敷居の上に座って、
トーロロ ハンロク ハンロク!と鳴いた、ところが、彼の若者は刀持つ手を上げ私を見ると、ニッコリ笑って、それはお前の謡かえ?お前の喜びの歌かえ?もっと聞きたいね。というので
私はよろこんでトーロロ ハンロク ハンロク!と
鳴くと、彼の若者のいう事には、
それはお前のユーカラかえ?サケハウかえ?
もっと近くで聞きたいね。
私はそれをきいて嬉しく思い下座の方の炉縁の上へピョンと飛んで
トーロロ ハンロク ハンロク!と鳴くと彼の若者のいうことには、
それはお前のユーカラかえ?サケハウかえ?
もっと近くで聞きたいね。それを聞くと私は、本当に嬉しくなって、上座の方の炉縁の
隣のところへピョンと飛んで
トーロロ ハンロク ハンロク!と鳴いたら
突然!彼の若者がパッと起ち上がったかと思うと、大きな薪の燃えさしを取り上げて私の上へ投げつけた音は体の前がふさがったように思われて、それっきりどうなったかわからなくなってしまった。
ふと気がついて見たら
芥捨場の末に、一つの腹のふくれた蛙が 死んでいて、その耳と耳との間に私は座っていた。よく見ると、ただの人間の家だと思ったのは、オキキリムイ、神の様に強い方の家なのであった、そしてオキキリムイだという事も知らずに私が悪戯をしたのであった。
私はもう今この様につまらない死方、悪い死方をするのだから、これからの蛙たちよ、決して、人間たちに悪戯をするのではないよ。
と、ふくれた蛙が云いながら死んでしまった。

おわり

失礼する!

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