浅田美代子主演『エリカ38』を観て
浅田美代子が詐欺犯役で主演。
1970年代ドラマ「時間ですよ」で共演して以来 家族同然に親しくしている浅田美代子に代表作を作ってあげようと樹木希林が企画したと、希林の最期までの日々に密着したNHKドキュメンタリー番組で紹介されていた作品である。
希林の思いに応えるような、凄演だった。
彼女と同年代の私には、「時間ですよ」でデビューした可愛いこちゃんイメージ。今世紀に入ってからはバラエティ番組でおちゃらけてもいたが、2015年に上映された「あん」ではいい人や優しい人ばかりの中で唯ひとり心が黒々とした人物を演じきって意外な?役者魂に驚かされた。
本作「エリカ38」では、バーホステスのかたわら「マルチ商法」に手を出して口八丁で生きてきた彼女が、根っからの詐話師にして詐欺師男(平岳大)の共犯としてそれまでとはケタ違いのカネをおおぜいから騙し取る。その悪女ぶり、アイドル時代そのままのベビーフェイスだけにかえって凄みが増す。
メイクや服装によって38歳と称していただけある見た目だったが、ラストの服役中は実年齢通り(以上)の老けぐあい。やっぱり役者魂はホンモノだった。
逃亡先のタイで「恋人」になった青年が効いている。根はワルではないが 日々を生き抜くために嘘をつくことが習い性になっていて、出会った最初から彼女はそれが分かっていた。そんな青年の姿は、詐欺共犯になるまでの彼女に近似する。(彼も、38歳ならぬ美代子実年齢に気づいていた。)
彼女の要介護状態母親役で希林も共演。美代子ラストの老け顔は希林とソックリに見えた。これまた凄!
浅田美代子以外の見所がどれほどあるかは些か微妙だが。