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銀行交渉もビジネスにおける取引の一つとして自然体で臨む

日本の金融政策の一翼を担う日本銀行の黒田総裁。その黒田総裁が日銀総裁に就任する直前までトップとしてご活躍されていたのがアジア開発銀行(ADB)です。

アジアの発展途上国向けにインフラ整備や貧困解消を目的にファイナンスする国際的な金融機関。国際機関にしては珍しく、歴代日本人がトップを務めています。

本部がフィリピンのマニラにあるため、私もマニラ駐在時代に何回かADBの本部に行ったことがあります。

入館するのに警備が厳重なこと、周りの喧騒とは別世界の静かなオフィス、グリーンマンゴージュースが美味しかったこと、などいろいろと印象に残っていますが、一番印象に残っているのは、発展途上国の人たちの態度です。

発展途上国はお金を借りる立場ですが、その対応は実に堂々としていました

日本では、お金を借りるという場合、借りる側になんとなく負い目があるのか、どうしても銀行に対して下手に出てしまう場合が多いように感じます。しかしながら、ADBにおいては、お金を貸す側も借りる側も同等の立場として交渉を進めていました。

お金がないこと自体は恥ずかしいことではありません。

事業を発展させるために手元のお金が足りないのであれば、お金を借りることはビジネスを進めていく上で必要なことです。

一方、銀行はお金を貸すことが本来の仕事。貸したお金を返してもらえるメドがあれば、お金を貸すことはビジネスの一つです。

つまり、材料を買う、商品を売るのと同じく、お金を借りることはビジネスに必要なワンシーンにすぎません。

当時は私も銀行にいたので、すぐには気がつかなかったのですが、淡々と融資の交渉が進められている場面に接し、資金調達も特別なビジネスではないという事実に改めてハッとしました。

中小企業の場合、会社の資金繰りを考える上で、銀行からの借入は重要な位置を占めています。けれども、あまり特別視しないことも必要。

銀行との交渉は会社にとって気の重い業務の一つかもしれません。しかし、銀行借入も商品のセールスと同じ感覚で自信を持って自然体で臨むとよりスムーズに交渉が進みます。


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