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【トリニティ】ビジネストレンド

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メタバース、DAO、ダイバーシティ経営等、最近のビジネストレンド関連の記事をあつめています。
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記事一覧

再帰の呪いで生成AIの精度が激減・多様性が消滅するかもしれない

ChatGPT等の生成AIは、インターネット上に公開された長年の人間のクリエイティブな活動結果によって創造されたコンテンツデータをインプットにして、機械学習を行い、予測モデルを構築しています。 しかしながら、ChatGPTや画像生成AIStable Diffusion等の生成AIが作り出したデータがインターネット上に広まり、生成AIがインプットする学習用データ自体も、生成AIが作り出したデータとなるケースが多くなってくることが想定されます。 参考:生成AIのデータがインタ

AI関連サービス提供各社の戦略整理

プロローグOpenAIによるChatGPTの無償提供に始まる生成AIサービスの流行により、AI関連サービス提供各社の戦略が定まってきました。各社の戦略、マネタイズ方法を考察していきます。 マイクロソフト(B2B領域・AI組込みサービス提供)マイクロソフトは、下記図の左上・B2B領域+AI組込みサービスを提供していると位置付けられます。 OSのWindows11やブラウザーのEdge、Word・Excel・Powerpoint・Outlook等のドキュメント作成ツールに、A

「キーエンス解剖」に学ぶ”最強の営業”

プロローグ国内トップ3の時価総額(14.5兆円)、上場企業で屈指の高賃金(社員平均年収2183万円)、メーカーとして脅威の利益率(売上高営業利益率:55.4%)のキーエンスは、なぜ最強企業として君臨できているのでしょうか? 下記参考文献よりベンチマーキングしたので、記載します。 ※参考文献 攻めの文化と価値を生む仕組み自社の工場に設置してある設備・機械が故障したら、修理対応を依頼する相手は、当然購入元のメーカーになるでしょう。しかし、購入元メーカーよりも先に、キーエンスの

銃・病原菌・鉄に学ぶ多様性の重要性

プロローグ近代、なぜヨーロッパ諸国がアメリカ大陸やオーストラリアを侵略・勝利し、その逆にはならなかったのでしょうか?その要因を、大陸形状の相違から発生する多様性の違いだとする仮説を提唱しているのが、「銃・病原菌・鉄」です。 大陸の形状相違によるイノベーション発生・免疫獲得への影響仮説の概要をまとめると、下記図になります。

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CEC 2023に見るメタバース技術の発展:五感をデジタル技術で再現

ラスベガスで2023/1/5~8に開催されたデジタル技術の見本市「CEC 2023」ではメタバース関連技術が多数出典されました。 現在のVRゴーグルでは視覚・聴覚のみ認知できますが、嗅覚・触覚という五感に訴える技術が発展し、メタバースの没入感を高めるイノベーションが進展しています。 出典:日経XTREND 2023/4 嗅覚:香りを出すガジェット Aroma Shooter メタバースの画面に合わせた香りを生成できる。 触覚:Diver-Xのグローブ型触覚コントローラ

DAO(分散型自律組織)が適する事業・向かない事業

DAO(分散型自立組織)と株式会社の相違点あなたが会社組織に所属するビジネスマンである場合、あなたの組織の意思決定構造は明確になっているでしょうか?民主的でしょうか? ほとんどの事業運営組織が選択している「株式会社」の場合、最高決定機関は株主総会ですが、すべての事業上の意思決定を株主総会で実施するとスピードが遅すぎますので、取締役会に業務執行を委任し、業務上の意思決定・執行は取締役会で実施されます。株主に不利な決定がなされていないか、監査役(監査役会)が取締役を監視します。

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メタバースの発展で戦争はなくなるか?

世界は自由に創造できるようになるメタバース(コンピュータの中に構築された3次元の仮想空間)の構築が技術的に可能になってきており、今までは神にしかできないとされてきた世界の構築が民主化されてきています。既存のメタバースに参加するだけでなく、自分好みのメタバースを自由に構築することが、そう遠くない未来に可能となるでしょう。 自分が構築するメタバースでは、なりたい自分に自由になれます。容姿、能力、職業、ライフスタイル、望むものを可能とする設計をすればよく、美男美女のアバター、巨額

AIをディスカッションパートナーにして仮説立案の精度を向上:ChatGPT活用

コンサルティングやロジカルシンキングでは、イシュー(論点)の検討をする際、考えるべき要素の網羅性(MECE感/漏れなく重複なく検討すべき要素が洗い出されている状態)が重視されます。網羅性が担保されていないと、案の選択を検討する際、見逃している要素があるか不安になり、なかなか意思決定に至れません。 考えるべき要素をMECEに洗い出すためには、以前ご紹介した下記等のフレームワークの活用(3C+3S・SWOT分析)等が有効ですが、他にもブレストを実施して帰納法的にボトムアップで洗

美術館のDX(デジタルトランスフォーメーション)とPMへの活用

美術館でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいます。「没入感と非日常感を体験できるアート」をデジタル技術を活用して実現しています。下記の日経クロストレンドにて詳しく紹介されています。 事例1:ファン・ゴッホ展 体験型デジタルアートとして、34台のプロジェクターですべての壁面と床面をシームレスに繋ぎ合わせ、「全身で浴びるアート没入体験」ができます。 事例2:Immersive Museum モネ・ルノワール・ピサロ・ドガ等の絵画を、こちらも数十台のプロジェクタ

なぜ日本では情報システムの内製化が進んでこなかったのか?

システム化・DX推進における内製エンジニアの重要性 近年、企業の情報システムやDX(デジタルトランスフォーメーション)には、企業内製のエンジニアチームが推進するのが有効という考え方が広まり、実際に内製チームを強化する動きが至る所で進展中です。 ITのことだけでなく、事業会社側のビジネスも精通している内製エンジニアチームがシステム化やDXを推進する方が、外部のSIer(システムインテグレーター)に依頼するよりも、経営に役立つシステム化やDX推進ができることは明らかです。 日

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小売業の広告メディア化:リテールメディアの発展

イオンの年間利用者は約13億人であり、小売業の実店舗には毎日膨大な人が訪問します。ZOZO Townはアクティブ利用者約1000万人・セブンイレブンアプリは約1800万人利用者等、小売業のWebサービスやアプリも、多くの人が毎日利用します。 人が多く集まるところは、メディアとしての価値が発生します。小売業の実店舗やECサイト・Webアプリは、広告メディア化が進んでおり、すでに米国ウォルマートでは、実店舗での広告事業の年間売上高が3000億円となっています。 EC系小売業の

EV基本性能研究にひたすら邁進する米日に対して、ユーザーニーズに集中する中国EV

EV等の省エネ関連の特許出願件数上位のトヨタ・ホンダは、EV基本性能・電池制御に注力しています。米国も同様です。 中国EV大手の特許出願は、電池交換・電池モジュール・充電ステーションに注力しています。 参考:日経ビジネス 2023/1/16号 現在、中国では、電池交換式EVが流行しており、電池交換ステーションでは、EVを自動運転モードで交換ステーションに駐車し、ロボットがEVの電池を5分で交換できてしまいます。 EVの弱点は、充電に要する時間が長く、最低でも数時間かかること

AIは真実を明らかにするが、なぜそうなるか理由は說明しない

日立が実施したホームセンターでのAI活用実証実験にて、実験対象店舗のフロアの特定の位置に店員が立っている時、顧客単価が上昇することが明らかになりました。下記の佐々木氏の書籍で紹介されています。 おそらく、その法則は真実だと思います。ですが、なぜそうなるかは、AIは說明しません。 ビックデータを分析していけば、このような理由は不明な真実・法則は多数見つかりますし、ビジネスに有用な発見も多いです。しかし、なぜそうなるか人間がわかる内容で言語化して說明されないため、その発見を活

Googleが殺される日:ChatGPTの影響力

昨年時点で、Googleの検索エンジンシェア率は、日本国内約75%、全世界で約90%と圧倒的な寡占状態です。 どんな企業であれ、永遠にトップであり続けることは、ありえないことは歴史が証明しています。Googleへの有力な刺客が最近現れています。そのうちの一つが、OpenAI社が提供しているChatGPTという対話型AIサービスです。 質問をすると、内容を解析して、かなり流暢な会話文で回答を出してくれます。現時点では、間違った回答も多いですが、AIの発展は早いので、すぐに課題