day1 祖谷と俺

23.10.03.tue

祖谷。

三好市、祖谷。

徳島県、三好市、祖谷。

四国、徳島県、三好市、祖谷。

岐阜県白川郷、宮崎県椎葉村、に並ぶ日本三大秘境の一つ。

2018年には、祖谷を含む「にし阿波地域の傾斜地農耕システム」は世界農業遺産にも選ばれた。

そして、なんといっても祖谷のシンボル「かずら橋」が吉野川の支流である祖谷川の頭上14mに架かる。

日本の伝統的な生活様式が今も残るこの地域に魅了され、アレックス・カー氏をはじめ、多くの外国人観光客がこの秘境に足を運ぶ。

そんな祖谷には、2017年8月初旬に家族旅行で訪れた。

「よくこんな場所の民宿を探し出したな」と当時の母親の決断に今となって感心。

日本各地を見てきた父親もこの地域は一番良かったと振り返る。

「目の前の山眺めながら片手にビール。最高やわほんま。」と。

そして、2023年10月1日、再び祖谷へ帰ってきた。

今度は旅行ではなく、働きに、暮らしに。

場所は「古民家グランピング MATOBA」

標高500mの地点にあって築100年以上のリノベーション古民家。

四季折々の景色を堪能させてくれる山々を前に目覚める朝は別格。

夕暮れ前の明るい時間からBBQをセットし、夜は野生動物の声を聴きながら焚火。

五感が自然に包まれたとき、本能が歓喜の声を上げ、スマホの存在を忘却する。

オーナーの井上さんとはトビタテ留学JAPANでお互い海を渡った共通点を持つ。

お互い海外の地へとトビタッた後、日本古来の文化が息づく祖谷の地で巡り合えたことに不思議な縁を感じざるを得ない。

田舎生活の始まりは近所挨拶から。

家の左右お二人とも90を超える人生の大先輩。

上には祖谷一筋のとよこさん。

いきなり来た外の者などは関係なくまずは畑の野菜をおすそ分け。

「茄子がよーでけたけん、持っていけ。トマトも熟れたるやつからもってけ。あ、じゃがいも炊いたところや、山椒味噌で食べると美味いけん、食べてみるか。」

その夜、井上さんのこの地に対する思いを聞いている中で忘れられない話をされた。

「文化ってろうそくの灯が消えるようにいつの間にか消えるんよね。」

山間部の冷え込みが言葉に呼応するかのような言葉だった。


「男はつらいよ」からキューバ、そして祖谷の地。

社会に生きる人間のダイナミズムから自然と生きる人々のダイナミズム。

この流れに吸い込まれるようにこの地にやってきた。

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