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「私のテーマじゃないから」

「自分の頭で考えなさい。私のテーマじゃないから」と、修論指導のゼミで指導教官に言われた。そう言われるのは初めてではないが、「自分の頭で考えたい」と前向きになったのは初めてだった。

一年生の時は、同じゼミの先輩が先生に「〇さんが何を研究したいか自分で決めてください。私はそこまで責任を持たないから」と言われるのを聴いていた。二年生になって、自分も先生に「〇さんはどう進めていきたいか自分の頭で考えなさい。私のテーマじゃないから」と言われ始めた。そう扱われて、なんか冷たい先生だなと思ったり、一人ではできないと不安に感じたりしていた。

なんでそう感じていたかなと今思うと、先生を信頼していなかったからだと思う。それは、自分は立派な研究をされていないと、先生を見下して、先生を信じようと思わなかったからだ。

しかし、最近研究し始めて、研究することの現実が見えてきて、どれが優れた研究で、どれがそうではないかという判断力どころか、判断する資格が自分にないということに気づいた。そして、「よい研究をしたい」という高い目標を立てても、時間や自分の能力、他者の協力という制限を目前にして、先生のおっしゃる通り、「そんなに贅沢に言えるところじゃない」ということを実感した。一言で言えば、謙虚になった。

また、一年間指導を受けてきて、やっと先生は相談に乗ってくれる人だ、信頼できる人だと思うようになった。「自分の頭で考えなさい」と言われても、全く一人にされたのではなく、主体的になってほしいなと思うようになった。そういう信頼から自分には挑戦していく勇気が生まれたのだ。

いままでは、一人だから失敗したらだれも責任を取ってくれないから、失敗して困らないように完璧にやっていくしかないという考えの元で、自分で自分を追いつめてきたかもしれない。自分で自分を孤立させたかもしれない。他人とのつながりを欲しがっているのに、自分でそのつながりを断ったかもしれない。これからはもうそうしたくない。

他人と関係を築くのが苦手だけと、少しずつ他人と繋がっていけるように頑張っていきたい。

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