見出し画像

私の昭和歌謡14 硝子のジョニー 1961

シンプルな旋律のなか郷愁の節回しに酔ふ令和の夜


アイ・ジョージは紅白歌合戦に、1960年から1971年まで12回連続出場している。AKB48とEXILEと同じ12回。

私は、1980年ごろからテレビを見なくなった。嘘ばかりでつまらなくなったからだ。だから彼らの紅白を一度も見ていない。でも、アイ・ジョージが出場していた頃の紅白は毎年見ていた。

私が好きな曲は「硝子のジョニー」だけであって、アイ・ジョージのうたではない。彼は一回だけこの曲を歌ったけれど、他は全部違う曲だった。

紅白歌合戦は、私の子供時代の大晦日の一大行事だったから、その間ずっと、アイ・ジョージを見続けてきた。でも、私は彼のファンではないし、あくまで「硝子のジョニー」ファンなんです。

歌詞が好き。
🎵 黒い面影 夜霧に濡れて 🎵の1番
🎵 赤い花束 泪にうるむ 🎵の2番
🎵 黒い太陽 まぶたに消えて 🎵の3番

この七文字の始まり方が古めかしくって気品を感じた。でも、歌詞の意味はわからない。

ジョニーって何人さ?
どこへ行っちゃったの?
赤い花束って薔薇かい?
だったら、歌い手は女性?

久しぶりに聞いて、妄想はふくらんだww

歌舞伎の「お富与三郎」みたいな物語かなあ。アメリカ版だと「マリア&ジョニー」だ。

「しがねぇ恋の情けが仇」は「In a pitiful love, compassion becomes the enemy.」だろうか?「しがない」は英語にするのは難しいね、与三郎さん。

作詞は石濱恒夫。大阪大好きの文学者さん。ヨットマンでもある。

さて、この歌が心に残った理由は、始まりのフレーズでオクターブにわたるメロディーの広がりがあるから。そして、1つの音符に1音をのせる童謡風じゃないところ。

アイ・ジョージはギターのコード進行で作ったんだろう。

原調はDだが、
🎵 くーろい おもーかげー🎵 をCで書くと、
♩ドーミソ ドシーソシー♩となる。
最後の「シー」で、郷愁が押し寄せるんだ。不思議。

始まりが同じように上へ広がるメロディーは、その数年後大ヒットした、演歌「函館の女」がある。これはヨナ抜き日本音階。

🎵はーるばる きたぜ はこだてへ🎵 をCで書くと、
♩ドーレミソーラドレ ミミミミー♩

北島三郎はすごい。10度の広がりをダイナミックに歌い上げている。でも、私は”ジョニー”の和声に心奪われている。

70年代に入って、この広がりで心奪われた曲がある。でも、サビを始めに持ってきたんだから、ちょっと違うけど。

それはチューリップの「心の旅」だった。
🎵ああ だから こんや だけはー🎵 をCで書くと
♩ドー ドドレ ミソラ シドシー♩

たぶん、始まりの上音への幅広さが私は好きなんだろう。プラス郷愁和声(私の造語)っていうこと。

ま、この三曲の中で、私は「硝子のジョニー」が1番好きだ。

アイ・ジョージは、日本人で初めてカーネギーホールでコンサートをした。大盛況というわけではない。日系人ばかりで空席も目立ったらしいが、それでも天下のカーネギーホールで歌ったという経歴は評価に値する。


彼は、現在も89歳で、詐欺容疑をかけられながら潔白だと言い、ピンピンしている。たいしたものだ。



【参考資料】

1961年  硝子のジョニー

1965年 函館の女

1973年 心の旅



【今週の過去記事】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?