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2016年正月ドラマ「坊っちゃん」

テレビがオリンピック一色のため、普段見ている番組がない。
食事のときに流しておける作品ということで、過去に録画したテレビドラマ「坊っちゃん」を再生しました。

主演は嵐の二宮和也。大好き。

冒頭とラストの朗読ナレが良い

「親ゆずりの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。」から始まる夏目漱石の小説「坊っちゃん」。
ドラマでも、冒頭にこの文章がナレーションとして二宮さんの朗読が入る。これが実に良い。二宮さんの声はやさしく、強く、心に届く。一人称ながら小説の地の文にあたるので、大げさな抑揚をつけず、とても聞き取りやすい。
あまりにも有名な冒頭文であるけれども、それがこの、二宮演じる坊っちゃんだということがよくわかる演出で、すっと物語に入っていけます。

そしてラストにも小説の朗読ナレが入ります。ドラマの演出上、清の亡くなる時期を変えてはいるけど、ほぼ地の文まま。

このラストが良い。夏目漱石って本当に文章がうまい。この小説がこんな風に終わるなんて想像もしない。
最後の最後に、どっと泣かされる。
そうしてその文章を、現代の若い女性が読んでいる画面になり、パタンと本を閉じると表紙に「坊っちゃん」と書かれている。

すごく素敵な脚本・演出です。

スカッとしそうでしない

坊っちゃんという人は正直者で、言いたいことをずばずば言う。これまで誰も反抗的な態度を取らなかった赤シャツに対しても、思ったことをきっぱりと告げる。

これが痛快といえば痛快なのだけど、といって実は、坊っちゃんの思うようになるわけでもなく、もやもやは結構残ります。

うらなりは転任するし、最後には坊っちゃんも辞任する。
生徒たちは謝ってくれるけど、新聞記事が訂正されることはありません。

赤シャツはマドンナに逃げられて坊っちゃんにも殴られて恥をかくけど、たぶん地元での地位はさほど変わらないでしょう。

二宮さんは当時、雑誌のインタビューでこのドラマについて、「後味の悪い、寂しい作品」と口にしたそうですが、本当にそう。
だからこそ、このもどかしさ、どうにもならなさに共感するのだと思う。
ずけずけと物を言えたらいいな、でも現実はそう変わらないよな、という、ドラマとリアルの狭間が、とてもうまく描かれています。

二宮和也という人

過去、坊っちゃんを演じた俳優は数多くいますけど、中村雅俊、郷ひろみ、本木雅弘など、顔の濃い人たちが主だったようです。
二宮さんは、異色の坊っちゃんだと言えるかもしれません。

撮影当時は30代前半、童顔と言われますがしっかりと大人の顔になっています。小柄で、肌がつるんとしています。

しかしこの二宮さんが実に小気味いい。自然のままに演じているようで、本人とは全く違う性質の坊っちゃんを、ああ本当にこういう人なんだろうと思わせるような演技をしています。

二宮さんの演技はいつだってそうです。見た目を変えることをほとんどしません。素のままの姿で、役のその人にすんなり馴染んでいく。せりふがせりふと思えず、そのキャラクターが発した言葉にしか聞こえません。
すごいなあと、いつも感服するばかり。

「坊っちゃん」は2016年の正月ドラマでしたが、その前年末、2015年12月には「赤めだか」が放送されました。こちらは実在の落語家、立川談春さんを演じてます。これもめちゃくちゃ好きなドラマでした。

ちょっとした表情の変化が実にうまくて、唇をへの字にしたり、目を見開いたりといった些細な表情の変化が、感情をストレートに伝えてくれます。それが決してわざとらしくはない。そこが好きです。

結局ただ好きですとしか言ってない感想ですが、いいドラマでした。定期的に見返したくなります。

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