友だちの赤ちゃんを触れない私
会社勤めをしていた頃、やっぱり何人かの人が産休明けに赤ちゃんを連れてきていました。
赤ちゃんって可愛いですね。本当に癒やされる。
でも私は決してよその赤ちゃんを触りません。
いや、ホントは触りたい気持ちもあるんですよ。
そのやわらかいほっぺ、むちむちの腕、しっとりした肌。
生まれたてでなければ(まあ新生児を連れてくる人はまずいませんが)、もう首もすわって、抱っこしても大丈夫なんですよね。
実際職場でも、抱っこさせて~、って言って平気で抱っこする人はいました。
私も若い頃は、たまには友だちの赤ちゃんを抱っこしたことがあります。
でもダメなんです。
本能的に、私の恐怖心が伝わってしまって、100%泣かれてしまいます。
私の膝の上でギャン泣き、のけぞり、びちびちと跳ねる赤子。
お母さんの膝に戻った瞬間、ぴたっと泣き止むその無力感。
安心を与えてあげなきゃいけないのに、こんな不安でいっぱいの私が、抱っこなんかできるわけないんですよ。
私は子どもを生んだこともないし、甥、姪もいませんので、赤ちゃんに触れる機会というのがほとんどないまま40を超えました。
まっさらな命、そしてあまりにも弱い存在。
私が少しでも目を離したら、その命が危ういかも? そう考えてしまうと、赤ちゃんへの恐怖心は年々増していきます。
私は責任を負えないんだ。負いたくないんだ。
私は私を守ることで精一杯だから。
自分の子なら、そりゃあきっと、全然違った感情が生まれるでしょうし、全然違う私になっていたかもしれません。
そう考えると、また恐怖心がわいてきます。
きっと向こうも、怯えながら抱っこなんか、されたくないでしょう。
弱い自分を肯定しつつ、赤ちゃんを遠くから眺めます。
飲食店で、隣の席のベビーカーに座ってる赤ちゃんとか、それくらいの距離感で見るのがいちばん楽しいし、可愛い。
無責任な距離感。
赤ちゃんってほんとに、尊いなあ。
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