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ジャイロキャノピー 2023#36 路上ベルト交換

ベルトが切れたみたい。
今から交換に来てもらうことは可能?

この人は、いうなればプロライダーだ。
走行中のベルト切れは何度も経験し、ぼくの勧めにしたがって緊急修理用の中古ベルトを常備して走っている。
業務中に走行不能になるケースは、パンクか駆動系のトラブルがほとんどなので、対策のために交換用のベルトを常備することを勧めた。
異物が刺さったパンクはたいてい応急修理が可能だし、走行不能になる駆動系トラブルはベルトによることがほとんどだから、交換用のベルトさえ持っていればレッカーを頼らずに済む可能性がある。

連絡がきたのは16時過ぎ。
1時間くらいで行けそうな距離のところのようだ。

その日ぼくは午前中から別件の予定があった。
けれど、開始予定時刻から雨の降り方が激しくなってとりやめ、今後の予定を考えているところだった。
雨はすでにやんでいた、が、夜になって再た降る予報だった。

行きますよ、18時くらいには到着できるんじゃないかと思います。

こういう人が身近にいたら助かるよな、と恩着せがましいことを考えていたけれど、案外、緊急の依頼は少ないので、商売として考えるのはむつかしい。
なにしろ緊急事態は突発だから、常に待ち構えているのも妙な話だ。
交換用部品をストックしておくのは無理だし、連絡がついてすぐに修理に来てもらえるかどうかは運しだいではある。
『緊急修理お任せください』と標ぼうしても、実現できるかは運しだいになってしまう。

この方は、ある意味運がいい。
ぼくの身が空いていて、しかも、新品ベルトのストックがたまたまある。
ベルトが切れたのが真夏の午後で、しかも土曜日なので交通量が少なく、作業場所もそれほど困らない。
配達に向かっているところだったので、依頼主と受け取り方に迷惑をかけてしまった点で、ご本人は恐縮している様子ではあった。

それでも、16時にベルト切れが発生し、修理完了したのが19時前、雨が降り出す前に終えた。
このスピード感はスゴい、と自分でも思う。

いろいろと偶然が重なってはいるけど、そもそもハプニングは偶然発生する。

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