新宿で献血難民となった日のこと
暑さ寒さも彼岸まで、のとおり、関東では見事に気温が下がった。
本格的な秋の気配、はあまり関係なく、定例的に新宿に向かった。
新宿西口献血ルームには、かなり昔から通っている。
この数年は行くたびに、ここを目的にしないと新宿にくる用事がないんだよな、でも、新宿にこだわる必然性はあるのか?と考えたりする。
他に馴染みの店みたいなものをあまり持っていないのであえて通っている。
馴染み、といっても、制約があるので年に3回だけだけど。
行ってみると、なにやら様子がおかしい。
ん、閉めているのか?と目の前まで行ってみると、8月に豪雨災害に遭って閉鎖中と張り紙があった。
地下だから仕方ないか。
と言いたいところではあるが、それで許されるのであれば、新宿西口は壊滅してしまう。
いったいなにがどうしたんだ?と問いたいが、閉鎖しているものは、無理したって開かない。
こんなことは長らく通っていても初めてだな、と思いつつ、東口ルームへ向かうことを決めた。
東口ルームも、西口ルームより後に開設したとはいえ、それなりの歴史がある、行ったことはないけど。
なにかと整っている、ふうの紹介文を何度も目にしたが、来訪者に迎合する姿勢があまり受け容れられなかった。
年間総量制限ができる前から、ぼくは西口ルームに通っているせいか、やたらと水分を摂れだの、献血後は15分以上座っていろ、だとかが何か白々しいものと受け止めている。
行ってみると、そもそも場所を勘違いしていたことが発覚した。
紀伊国屋ビルの中ではなくて、その隣りのビルなのね。
入ってみると、その広さに驚く。
カウンターが真ん中にあって、その周囲をぐるりと椅子が配置してある。
しかも、その部屋には医師の姿も、看護士も見えない。
これは、まったくクリニックの様相だな。
さらに、FreeWiFi の掲示もある。
そりゃ若いコが長居するよな。
こういうところに金をかける必要はあるのか?とつねづね日赤の金遣いに疑問を持っているが、いまだ人工血液が開発されていないことを鑑みれば、こうせざるを得ないのかもしれないとも思う。
受付では、まず、予約されていますか?と問われる。
ぼくは予約はしない。
そもそもが、時計に縛られる生活をしていないので、予約することのメリットを感じない。
予約制度ができてからもかなりの月日が流れているが、その間、予約なしで出向いて順番を抜かされたことは一度もないことからすると、予約のメリットは日赤側に寄っていると感じている。
つまり、その日集められる血液型の予測をつけている、と。
いや予約はしていない、と答えると、実は受付のシステムがダウンしていて、非予約者はお断りしていると告げられた。
それはソフトなのかハードなのか、ベンダーはどこなのか、と聞いてみたくはなるが、聞いたところで今すぐ回復できるものではなかろう。
そうですか、と踵を返してエレベーターを待っている間、予約していれば受け付けられるとは、どういうことかと考えてみた。
おそらく、問診は手書きで一時的に記録して、システム復旧後に書き込むのであろう。
問診をせずに採血することは、昨今の献血者過保護の状況からは考えづらい。
ならば、あえて非予約者を門前払いするのはいかがなものかと思う。
手書き対応可能な人員が足りないか、後々のシステム登録時に間違いが発生するリスクを回避した、といったところであろう。
たしかに、日赤の献血事業を古くから見てきた者からすると、昨今の電子問診項目は増えた。
しかも、電子的に回答する以外にも口頭で確認する項目もあり、なぜシステム反映しないのかと、毎度繁雑さを感じていた。
総合的にみると、日赤の献血事業は資金投下の方向が間違っていて、システムに対する設備投資ならびにランニングコストは抑える傾向なのだろうと、かなり前から感じている。
たぶん、ベンダーはあそこだろうな、と目に入る機器から察しはついているのだけれど、ぼくが本日献血難民となったのは、システムベンダーの責任ではなくて、日赤のシステム設備投資が少ないことが原因だと思われる。
西口ルームから東口ルームへ移動する間、献血Web会員サービス上では、システム障害のアナウンスは記載がなかった。
処理系が別個なのは当然だろうが、受付システムの保守契約に、Webサービスの更新は含まれてないことが判る。
障害の詳細は、明日には公表されるであろう。
けれど、事業予算の何%がシステムに配分されているのかは、知る由もない。
取材させてくれないかな?
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