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その3 エンジン発掘

「王家の谷から運びだした箱」を開けてみた。
ゴミ袋五重に包まれていて、ようやく取り出した。
左のカバーが外されて、ドライブシャフトがむき出しになっている。
スプロケットはついていない。
これは、なにかいじろうとした痕跡なのであることは容易に想像できる。
そして、排気側のタペットカバーがオイル取り出し用のものに付け替えられている。

オイルクーラーを取り付けようとしていた、か?
けれども、オイルクーラーを取り付けるだけなら左のカバーを外す必要はない。
もっとも、ドライブチェーンを切らずに外すにはカバーは開けたほうがラクだ。

あちこち触りながら観察していくと、ヘッドカバーとカムカバーが手でゆるんだ。
ふむ、腰上を組み直そうとして中断したな、これは。
飯島君が言っていた「組み立ててほしい」は、エンジンそのものを組み立てるところから始まるのか。
エンジンは単に取り外されているだけ、とオレは思いこんでいたけれど、聞いてみると飯島君もこれは想定外だったらしい。
「できないんですか?」
と訊いてくる飯島君に、できないわけないよ、と思いながら
「ガスケット類は新品にするよ」
と、部品代が必要になることを伝えた。
ガスケットの他にも、エンジンだけでいくつか部品が足りないことが判った。

オイル取り出し口になっているタペットカバーは、ノーマルの密封タイプにする。
他の箱からオイルクーラーが発掘されれば別だけど。
ここのタペットはロックナットがなぜか、ない。
まさか調整中にエンジン内に落っことした?
と思ってシリンダーヘッドをひっくり返してみたりしたが発見できなかった。
バルブの隙間から燃焼室に落ちていたら最悪だな、と思ういっぽう、大きさ的にそれはないだろうとも思う。
どこにあるのだろう?

カムチェーンスプロケットはボルト穴が合っていないので、これも買わなくちゃならない。
こんな部品は買ったことがないので、いくらするのか判らない。
注文してみないとわからないな。

部品を注文するには、エンジン号機番号が必要である。
正確には、注文には部品番号が必要なんだけど、部品番号はエンジン号機がわからないと特定できない。
このエンジンには「C50E-079xxxx」と刻印がある。
カブ系50ccエンジン、ってことだな。
では、手始めにガスケットを注文しておこう。
ガスケットが届くまでに、他の箱を開けて中身を確認していくことにする。

開ける前から、中身が想像できる箱もいくつかはある。
フロントフォークが典型的で、持ちあげるとそれらしい重みがある。
問題はコンテナをはじめ、大きめの段ボールだ。
中に何が、どのような状態で入っているか判らないので、丁寧にテープを剥がして開梱した。

でも、メインフレームはフロントフォークがついているよな、たぶん、あの形なら。
キリンみたいなかっこうの、首にあたるところがフロントフォークであろう。
ということで、フロントフォークと思われる箱を開けるのは別の機会にする。

カブの箱からは、大きな部品を取り出して、足りないものはなにか?を考えながら見ていった。
「王家の谷の棺」同様、ガソリンタンクも発見した。
ハンドル・シート・テールランプも発見した。
クランクケースの左カバーも見つかった。
足りないのは、フロントウインカーくらいか?
ボルトなど細かいものは、食品用の保存袋に入ってまとまっている。
ドライブスプロケットとカムスプロケットも見えるが、ボルト・ナットは少ない印象がある。
足りるのかね、これで?

ということは、モンキー用の箱からウインカーが見つかればよいけれど、なければ買うしかないな。
飯島君は、足りなければ買います、と言っていたし。
けれども、モンキー用のパーツは足回り用が多いな。
リアショックは2セットあるし、ブレーキキャリパーも出てきた。
フロントフェンダーにいたっては、5枚もある。
これは、カブに使えそうなパーツはないかも、と諦めかけていたが、コンテナからは前後セットの社外ウインカーが見つかった。
ほぉ、なんとか形にはできるか?

できるかな、本当に?

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