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シリンダーヘッド 2023#31 折損ボルトとの格闘

ボルトが折れる。
それほど珍しいことではない。
けれども、あまり出逢いたくはない。

対処としては二択しかないと思う。
ボルトとして抜くか、金属として削りとるか。
折れたボルトがネジ穴から飛び出している状態の場合、飛び出している部分に金属を溶接してボルトを再生する手法も可能ではあるけれど、必要な道具と技術はかなり高度だ。

今回は溶接できるほどはボルトが残っていないので、とりあえず穴を掘ることにした。
残ったボルトを、回わすにしても削りとるにしても、中心に穴を掘る。
空いた穴に何かを入れて回して抜くか、さらに穴を拡げていくかは様子を見ながら決める。

穴を掘るにはドリルを使う、いうまでもない。
ドリルを回すには、電気ドリルかボール盤を使う。
ボール盤を使うほうが少しは楽だけど、うちにはない。
昨年、同じ作業をやったときに、卓上設置用の小さいものを導入したが、刃先のブレが止められず、作業が終わったところで処分した。
それほど使用頻度は高くないだろうし、つぎに道具を充実させるならドリルスタンドの導入を検討しようと考えていた。
ところが、準備が追いつかず、やむなく手持ちの電動ドリルで作業を開始した。

この折れたスタッドボルトはM6で、穴あけは1.5mmからはじめた。
貫通したら、少しずつ大きいサイズで拡げていき、最終的には4.8mmをあけようと考えていた。
M6ボルトの下穴は5.0mmだけど、電気ドリルで正確に5.0mmを開けるのは不可能だと考えている。
4.8mmを開けるつもりで電気ドリルを回すと、結果的には5.0mmに近い大きさの穴が開くであろうとの計算である。

と、カッコよく言っているが、1.5mmもなかなか貫通しない。
理由は明確で、刃先がイマイチだから。
刃先を研いではドリルを回し、を繰り返してもなかなか先に進ない、たった3.0mmくらいの長さだというのに。
細い糸のような切りくずがでてくることはなく、何度も新品を買いに走ることを考えた。
先端が見えづらいので刃をつけるのはかなりむつかしいが、必要になるたびに新品を買っていては、数が増えてどれがキレイに削れるものかを判別するのがむつかしくなる。

1.5mmが空いたら、2.0mm、3.0mmと少しずつ太いものに替えて拡げていく。
3.0mmが貫通すると、中になにかを入れて回したくなる。
昨年、同じ作業をやったときは、ヘリサートという折損ボルトの除去工具を使った。
使ってみた、が正しいけれど、結果は最悪で穴の中で折れた。
穴が真っ直ぐに開いていなくて、回転方向とネジの向きが合っていなかったのが原因ではないかとも考えられるけれど、M6ボルトを回すのに3.0mmでは細すぎるのではないか?と結論づけた。
次回は逆回転ドリルを導入しよう、そう考えたのを思い出したのは、今回4.5mmの穴が開いたころであった。

計算上は、残っている金属が1.0mm以下の薄い板状になっているのだけれど、それは上から下までボルトの中心に穴が開いている状態のことで、これを見分けるのは目視では不可能と思われる。
今回は運よく中心に近いところに開けられたようで、予定どおり4.8mmも使うことにした。

ただ、4.8mmドリルは無駄に長いように思う。
手前ではキレイに回っているのに、先端がブレるのを目視で確認できる。
回転数を上げるとブレが小さくなるようにも見えるが、速く回せばよいというものではなくて、刃が噛み込むのに最適な速度は意外に遅い。
と、気づいたのはさいきんの話だ。

こうやって折れたボルトを抜いたのは何本目だろう?
次回は逆回転ドリルを導入しよう。

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