見出し画像

Let's2 2023#38 納車後整備

納車整備、ってのは売り出すときに、売り手側がやること。
だけど、個人売買が頻繁になった昨今は、未整備のまま受け取るケースが増えてきた。
もちろん、昔から未整備での売買はあったけれど、多くの場合部品取り用だった。
売り手側としては入荷した車両を見て、走らせるには時間と費用が多大だな、と判断しているに違いない。
つまり、これは修復費用がかさむであろう、と予測される車両が格安販売される。
もちろん、それを買う人もやはりいて、買った直後は動いていたのに不調に陥った事例が後をたたない。
そういう背景があって、中古車を購入したさいは、不調があろうがなかろうが全体的にチェックすることをオススメしている、納車後整備、として。

最初に見たときは、セルが回らず始動できない状態であった。
では、キックすれば始動できるのではないか?と数分試したが始動しない。
セオリーどおり、プラグを見ると火は出ているし、キックの感触はスカスカではない。
やはりキャブレタかと疑って、シートとボックスを外すと目を疑うような汚さ。
オイルをこぼしたのか、漏れたのか判別がつかない。

ダメですねこれは、ちょっと大がかりになるけどやりますか?
と聞くと、やると言う。

ではやりましょう、まずは洗車。
マニホールドのガスケット類がヤれているエンジンの場合、周辺の汚れを落とすと不調が顕在化することがあるけれど、本格的に手を入れるので構わず洗っていく。
大・中・小とブラシを替えて3回。
小ブラシを使うころには、こんなもんでいいか、といったぐあいになってきた。
真夏の日差しは妥協を呼ぶ。
けど、この先は妥協が許されない。

キャブレタにガソリンが送られているのは確認済みだったけれど、ドレンを緩めてもガソリンが流れ出てこない。
やはり最低限、キャブレタ清掃は必要だな。
キックで始動できないからには、スロー系の不調は明らかであろう。
と、キャブレタを外すとコックからのガソリンが止まらない。
まいったな、非分解指定なんだよな、このコックは。
けど、やらないわけにはいかないだろうな、とコックも外してストレーナ部を開けると、こちらもひどいゴミのたまり様。
ふむ、タンクもか。
50ccスクータのガソリンタンクは、せいぜい5リットル、大きいものでも7リットルくらいの容積なので、満量が入っていても一時的に抜いて保管できる。
この機会にタンクも洗わないと、次の機会がいつになるかわからないので、今回洗ってしまおう。
と、けっきょく燃料ラインは全経路メンテナンスすることになった。

いっぽう、セルモータは、と見ていくと、電源線に直接バッテリーをつないでも回らない。
本体か、配線か?
たどっていっても、オイル汚れで固まってしまっていて、端子部分に手が届かない。
ここは後回しにしよう。
まずは始動させてみないとな。

とキャブレタを戻してキックしても始動しない。
ん、マフラーも詰まっているということか?
けど、マフラーが詰まっていても始動はするよな、と疑いながらも、今やらないと始動したところで、すぐに不調になるよな、と考えて、とりあえず外す。
シリンダ側を覗いて塊みたいなものがなければそのまま戻そう、のつもりだった。
ある、塊が。
悲しむべきか、喜ぶべきか、複雑である。
もろくなっているほどのサビ具合ではないとみて、軽く炙ってエアを通して戻してみた。

これで始動できなかったら、もうピストンからクランクシャフトまでオーバーホールだな。
じつは、エンジンの汚れ具合を見て、すでに車体から切り離したくなっているけれど、車体からエンジンを切り離すのはガンダムのセリフで言うほど簡単じゃない。

と、まあ、こっちに手を入れたら、あっちもやる必要に迫られる、の繰り返しが多かったけど、いったんキック始動で運用してもらうことにした。

要するに、書ききれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?