見出し画像

マジェスティ125 2023#17 ガソリン漏れ修理

「出発するときに満タンにしたんだけど、20kmくらい走ったら半分くらいになった」
それはヒドいね。
と思いながら、いま走ってきた車両の下には、もう地面にシミができている。
観察していると、エンジンを停止してから数分たって滴り落ちるのが止まる。

数日前に連絡をもらったとき、そりゃマズいですね早めに対処しないと、と応えてはいたが、漏れ方は想像以上に激しい。
コマジェは燃料ポンプのパッキン不良がリコール対象になっていて、キャブレタ仕様のこの車両もタンク周辺が疑わしいと想像していた。

少しエンジンが冷えてから、車体下側から覗きこんでみたが、ガソリンが漏れてきた痕跡は見つからなかった。
エンジンを停止させると漏れが止まることからも、負圧コックとキャブレタの間のどこか、が疑わしくなってきた。
って、負圧コックがあるのかね?

数学や電気に詳しい人なら、この「負」についての理解があると思うが、ぼくにはなかなか理解できなかった。
要するに「マイナス圧力」なのだけど、「圧力」の「負」とは、ピストンがシリンダーの中で下がっていくときの吸い込む力と理解できたのは、バイクをいじりはじめてから10年くらいたったころだった。
もっとも、毎日圧力について考えていたわけではないけれど。
その、吸い込む力で薄いゴムを持ち上げてバルブを開く仕組みが負圧コックなのだけど、バルブで止めているガソリンはコックよりも高い位置にないと、コックの機能として理解しづらい。

コマジェはガソリンタンクがシートのすぐ下に配置されているので、キャブレタまでの間に負圧コックはあるのであろう。
ただ、そこを確認するにはシートから後ろ側のカバーを外していかないとならない。
125ccにしては大柄な部類のコマジェは、カバーを外していくのがたいへんだ、シートボックスを外せばよい、という構造ではない。
とはいえ、キャブレタ周囲を点検する作業は、この車両だけで5回目くらいなので、かなり慣れてきた。

ガソリンタンクが直接見える状態にしてから、観察してもタンク周辺にはガソリンが漏れた痕跡がない。
タンクの出口側からホースをたどって、つながっているユニットを見ると、一本は負圧を取るように接続している。
コックと呼んでいるのか、ポンプと呼ぶのか知らないけれど、ここにもガソリン漏れの痕跡はない。
ということは?
と、試しにエンジンを始動してみると、やはり、漏れてくる。

なんだよ、キャブレタのドレンホースじゃないか。
オーバーフローってヤツね。
やっと原因はわかったけれど、交換部品を持っているかな?
不安はあるけれど、掃除だけでもまずはやらないとならないので、下ろして開けてみよう。

キャブレタのオーバーフローは、フロート室内のガソリン量が多すぎると起きる、いうまでもない。
多くの場合、ニードルバルブにゴミがはさまったり、先端が変形してしっかり閉じないことによって起きる。
なんkm乗ったら交換時期ですよ、との目安があるのかもしれないけれど、考えてみたことがない。
発生したら点検・交換する、それ以外にないからだ。
運が良ければ軽く叩くと、はさまっていたゴミが外れて回復するけれど、すでに大幅に脱がしているので、分解清掃まではやりましょう。

フロート室を開けて、ニードルバルブを取り出してみたところ、変形しているようには見えない。
フロート室の汚れ度合いからみても、ゴミが入りこんだ可能性は低そうだ。
相手はガソリンなので、目に見えないようなゴミでも、はさまればオーバーフローはするだろうけど、流れ出し度合いからすると、それなりに大きなゴミのはず。
ということは?

ニードルバルブボディのOリングか、犯人は?
これが悪いと、たいていは外すときの感触でわかる。
軽く抜けてくるので、間違いないであろう。
うーむ、用意してあったパーツはガソリンタンクのパッキンだけなんだよな、このOリングはストックがあるかな?

意外と、ある。
スズキ車用だけどサイズはそれほど違わない、外径でコンマ2ミリくらい大きい。
あまり無理せずに収められれば使えるであろう、小さいと機能しないが。

このテの、小さい部品はけっこう流用がきく。
もとは、ケーヒンかミクニのどちらかが作ってるからな。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?