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ジャイロキャノピー 2023#39 クランクシール交換

緊急ベルト交換をやった後、なんか速度があがらない、のようなことは言っていた。
社外品ではあるけれど、それなりに実績のあるメーカーなので問題ないと思うので様子見てください、とは答えていた。
その3日後だったか、エンストするようになった、と連絡がきた。

ベルトが原因でエンストすることは考えづらいなあ、と思いつつ話を聞いていると、なんだかカラカラと音も聞こえる、と言う。
うーん、なんでしょうね、ベルトとは無関係とは思いますが、最悪は焼きつきですね、のようなやりとりの後、オーナーからは、ピストンリングの損傷だと思うので替えて欲しい、との結論が出た。

いやー、どうだろう?
けど、スロットルを大きく開けるとストールしてしまうのは常態化しているようだった。
圧縮抜け、かなぁ、ピストンかクランクケースかどっちかはわからないけど。
と、方向性があるていど決まったところで、速度が40km/hを越えるとその後、必ずストールするので、作業するには路上で頼む、とのことであった。

ピストン交換を路上でやるのか、と少し腰が引けるが、本人としては、ピストンになにか起きたと確信しているし、速度があがらないからには、こちらの工房には運べない、レッカーは費用的にムリ、とのことであった。

やるしかないか。
2ストだから、それなりに楽だけど、大変なことには違いない。
気温は連日30℃を超えているが。

このオーナーは、依頼したらすぐに回復してほしい、の思いが強い。
気持ちは理解できるが、実現できるときと、できないときがある。
ピストンリングの損傷だったらよいなぁ、との思いもかなわず、取り出してみると見た目には折損はない。
シリンダーから抜くのに、割合軽く抜けた気がしないでもないが、どノーマルのピストンなので、こんなもんか、とも思える。

ピストンを替えてみるけど、効果なかったらどうしましょうね。

と、組み上げたところで圧縮を測っても回復していない。
シリンダーボルトの締め付けが弱いのか?
規定値なんだけどな。
と、軽く増し締めしたつもりが、折れた、シリンダーボルトが。
こういうこともあるわな、元のボルトを使うと。
マニュアル上は新品指定にはなっていないけれど、圧縮を支える力がかかるのか、もろくなっているように思う。
要因はどうあれ、折れたボルトを抜かなければならない。

参ったな。
「ピストンを交換してくれ」
と連絡がきてから、すでに一週間たっている。
なんとかしてあげたいが、うまいこといくか?

うまいこといくんだな、これが。
企業秘密なので書かないが、翌日新しいクランクシャフトのシールと共に装着した。
折れたボルトが、右側だったことが不幸中の幸いで、外したついでにクランクシャフトシールも交換したし、オイルポンプのシールとOリングも交換した。
ジャイロ系のオイルポンプを外していくのはすごくめんどくさいが、外したからには替える。

さあ、これで圧縮はよみがえるはず、と測ってみると、ボルトが折れる前とたいして変わらない。

ここまであちこち替えても高い数値が出ないのは、路上整備の限界なんじゃないかと思います。
そう言うしかなかった。
点火できないほど低い値ではないので、これ以上を望むなら、もっと時間をかけて、一度はクランクシャフトを取り出すような作業をやる必要がありますね。

けっきょく、カラカラ音の原因は不明なまま、開腹前より少し圧縮が上がった状態で終えることとした。

スロットルを大きく開けた後にストールしていたのは、メインジェットの汚れか、オイル量が少なかったからではないかと、じつはにらんでいる。
少しは圧縮が上がったから、ピストンリングやシール類の交換は間違ってはいない。

キャブレタの掃除とオイル吐出量の調整が先だったな、折損ボルト処理も余計だったし。
と、後悔の残る作業となった。

三連休で収まったのはよしとしよう。

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