【稽古日誌】カスケードとカテーテル #13

2022.4.26(火)
さて、COoMOoNO新作公演『カスケードとカテーテル』、ついに今週末開幕です。会場入りするので、今週の稽古日誌はそうした場所の変化を受けての演技・演出の変化などをイキイキとお伝えできたらと思っています。

今日はシーンごとの稽古と通し稽古をしました。通し稽古後の返し稽古(直すべきシーンを抜粋して行う稽古)で、ラストシーンに新しい動きが加わりました。
今回のお話は抽象的な場所設定なのですが、どこかの「内」であることは確かなように思います。「内」は「外」との対比で存在するわけですが、戯曲上では「内」で終わっていたものが、「外」へ向かうかたちで終わるようになり、より観客へ届くメッセージ性が鮮烈になりました。
お話のなかで、主人公を導くある3人組が登場するのですが、彼らが何をしたい人たちなのか……。彼らは彼らの目的に沿って行動していて、台詞から目的は十分に理解できるのですが、それが本当に彼らの目指すものを達成する手段として適切なのか?と、観ていて訝ってしまいました。
分かりません、あのように終わることも厳しい眼から見れば必要なのかもしれないとも思います。しかし……彼ら3人組を突き動かしているものは何なのだろう。しかし「目的」とは言葉であり、言葉以前に彼らを動かすおおもとの栄養供給源があるはずではないのか……。私には、通し稽古では見えませんでした。今作がそこに重きを置いていないことも分かるのですが……。「社会にとって」ではないところの、「人間にとって」何が善で何が悪なのか……。
稽古によってメッセージ性はより届きやすく、鮮烈になってきています。メッセージが届けば届くほどに、これが政治活動ではなく「舞台」「演劇」であることが見えてきて、「なぜこの舞台が今必要なのか?」という問いが立ち上がってきます。全てを失くしてもそれでも在ってしまうものは何か。答えは既に舞台に載っています。
個人的にですが、前作は会場入りしてから、作中ずっと謎に伏されている秘境の場所・意味合いが明確になったと思っています。今回は会場入りすることで作品にどのような影響が出てくるのか。すごく楽しみです。

演出助手 寺原航平

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