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第2回THE NEW COOL NOTER賞~1/22講評その3(ヒロさん分)

第2回THE NEW COOL NOTER賞へご参加いただいている皆様。
本日までに応募された作品のうち、審査委員のヒロさんに講評をいただいた作品について、掲載させていただきます。

ヒロさん講評文(11作品)

絵画の見かた。

出来上がった作品に描かれた形状・姿・色あいを目で追い、技術に感心するのもよい。

だが、もともと物体としては何も描かれていない真っ白なキャンバスだったはず。
そこから信じられないほど強いメッセージを発し、脈が乱されることさえある。
科学では解明できない、素敵なことのひとつである。

世界的な画家ピーター・ドイグ氏の作品に触れた興奮と喜びが文字を通して伝わる「絵画の見かた」が記されたnote.

時間も国境も時空も超えて、筆がキャンバスを埋めてゆく そのときの心情に触れることさえできるのだ。

私は美術館へ行かねばならぬ そんな気持ちにさせられました。

モチーフは取り立てて施したわけではないであろう、ありふれた風景・日常。
緑とも青ともいえない、青とでも緑とでもいえる ゆらぎのある色彩、安定だけにとらわれなくても良いのだよ と心地好い不安定の魅力を覚える。

絵画という静止画の視覚からメトロノームを連想したとき、幸せな気分に浸ったのだろうな と羨ましく思いました。


人間の欲ついて ユーモアたっぷりに展開し記憶にいつまでも残るnote.

時代背景は異なっていても男性も女性も行動原理は一緒のようです。

絵が達者な者の望むものが次々と叶っていく。

才能と美しい心が世の中に貢献していく導入。

お城場面からの痛快でテンポよい展開をニヤニヤ微笑みながら読み進める。

心当たりのある読者は ついうなずいてしまう、ピリリと皮肉の効いた描写が楽しい。

主人公の男にとっての絵は時代と場所で置き換わっているものを暗示するのだろうか。

才能、権力、財産、頭脳、美貌......

思いが叶うことに自覚したならば心得3つをお忘れなく願いたい。


ロックバンド・ネクライトーキーのライブレビュー。

ドームなど大会場とはまた異なりライブハウス特有の観客との近い距離の一体感と、ポップで元気が出る、遊び心が楽しい楽曲が伝わる。

キャッチーなリズムとワード、痛快なメロディがしっかり耳に残る。

新鮮さに加え、数十年活躍するクラシカルな日本語ロックを思い出せるのも自分世代にはとても嬉しい。

<かきむしって 熱を上げて これだけは譲れないと守ってきた>

年を重ねると守ること譲ることへ傾倒していきがちだと思う。
<これだけは譲れない>ことを守るとますます元気が出そうだ。

会場でのあっという間の2時間、そののち数十年持続する余韻。
推しバンドの知名度と影響力が どんどん上がっていく楽しみは生きて暮らしてゆく聞く側のエネルギーだ。
そんな僕らのためにネクラトーキーは鳴る。


落語家さんのネームにまず興味を惹かれます。

期待どおり、静かでスタイリッシュな枕の導入。

テンポよい描写は 和服姿での身振り手振りが浮かぶ。
文字の落語、目で見る落語から脳内で3Dへ再変換を楽しめる。

お笑い芸人さんで馴染んだ笑いの大きさを競うのではなく やり過ぎない愉快が中盤に散りばめられる。

もっと笑いを大きくしよう とは又異なる ほどよい笑いが とても心地好い。

旅の楽しみと時代背景の変化、技術革新と それぞれの時代に生きる人物。

オチがとても分かりやすく、冒頭の何気ない伏線を確認するため 二度見したくなります。


不変を象徴するアンティークアクセサリーと、流行り廃りのある時代を表すアーチスト・楽曲の対比が伝わったnote.

女性が女性らしくありたい との思いが等身大で赤裸々に記されます。

お片付け には得手不得手、向き不向き、才能のようなものも関わる。

同時にゴミ屋敷と自ら認めるような環境には そのころの生活や心情を想像してしまう。

部屋はともかく 、近しい女性に服を アクセサリーを との男性側の思いに微笑みます

過ぎた時代の物品、楽曲や当時のアーチスト、そこから連想される記憶。

ガラタクタか 宝物なのか どちらかに仕分けをしない生き方があっても楽しそうだな と思いました。

ゆーさん、コメント欄へコンテストに関する思いを記してくれてありがとー☆
気にかけてくれていること、ゆーさん の言葉嬉しかったです☆


恩返しではなくて恩送り。

日常と非日常が入れ替わったような今日は さらに深く響くのではないでしょうか。

恩に気付いたときは 恩を返すべき人とは会えなかったり、遠ざかっていたり。

誰でも心当たりがあるように思います。

その恩は他へ送ればよい。
直接ではなくても 連鎖して思う人へと届くものだと信じるのもよい。
恩は返されるよりも、他の方へ送られることを望む人も多いことでしょう。

心が洗われる 、美しい言葉選びで一層深く伝わります。

今日の生活は先人さんたちから送られ、残してくれた恩が築いたものだとも言い換えられるのだと思いました。


第一回開催にて広く多くの人に知ってもらいたいnoteとして授賞をさせていただいたyoko’sさんのnote.

お子さんの疾患や個性に対する実体験が綴られます。

兄弟と一般的に括られがちな 2つの個性に ちゃんと2つの手間をかけること。

自分の親の世代、昭和30年代の長男だけは大学へ という頃から進み、個人個々それぞれへと時代は傾倒しています。

時代背景と共に変わる子育ての常識と 流されない本質との見極めこそ親御さんの大きな役割なのだと伝わります。

それぞれお互いの自覚から兄弟という関係が育まれてゆく大切さが記されます。

行き違いは起こるでしょう。

兄弟で解決させる我慢、変化や成長を待つ余白は イイオトコ予備軍に必要な時間でもあるのだとあらためて思いました。


「真っ白なスケジュール帳 、なんか視界が広いですよ。」

嫌みの無い、謙虚なナルシスト というかっこよいフレーズがぴったりと似合う。

昨年12月に表舞台からの引退を発表した ラーメンズ 小林賢太郎さん に触れたエッセイ。

シュール という単語からは 自分もラーメンズ というワードが一番最初に頭に浮かぶ。

テレビ画面に映るラーメンズは また見たくなる独特の世界観を発していた。

誰かに似ている の先駆者に当たる存在が見当たらないのだ。

芸能人としての認知度を上げたいという欲が伝わらない不思議な存在感が記憶に残っている。

10年前、20年前、30年前 夢中に追いかけたエンターテイナーを報道により久しぶりに目にする機会は多い。

観る側も演者も どちらも同じ時間だけ時代を進む。

その頃の生活や周囲の人を思い出すきっかけになることが その場を楽しむことに加わるエンターテイメントのもう一つの魅力なのだろう。


"しない・をする。" しないことを受け容れる視点が新鮮な 哲う兎さん。

第1回開催にて授賞をさせていただいた りなるさん のnote.

ご参加いただいたnote.はプロフィールをなぞり 一本筋の通ったかっこ良さが更に際立ちます。

朝モヤの時間帯、なにもないお空は何色に映しているだろう。

生活が始まると同時に 少しずつ もしくは急激に色が付いていく...... はず。

自然色の色合いは受け容れられるのに 人々からの色が伝わらない憂い。

ここで記すわけにはいかない 中盤のパワーワード が強く心に残る。

「不安と向き合わない為に」、「周りのみんなに遅れないように」、
動いているつもりが 、誰もが動いている同調にも呑み込まれて 目も脳も心も 拠りどころが自身を離れていき不安は更なる不安へと悪循環する。

さて 生の色彩を呼び戻すための洒落た思考とは。

自分を重ね読みドキドキ ザワザワさせられることでリセットし、催眠の解けたような安堵感が説得力を増し 心に残ります。


人体とつながった筆やペンを用いる創作とはまた異なり 吹き付けて完成へと向かう スプレー缶から広がる世界

境界を作るため補助道具で隠す円と角度や、噴射に任せた点描とグラデーションが代表的だが 絵画のような繊細な表現に驚きます

細部が しっかり描写されることで際立つのは やはりスプレー缶ならではの放射された自由な色彩たち

筆描きの区分と見分けてみよう と意地の悪い設問が浮かぶが 何しろ筆は一切使われていないのだ

宙に放出された色彩の着地点で構成された作品は 今にも流れが再開されそうな水の自由な動きに長い時間 目を奪われる

なにしろ一度 宙を経て着地した経緯に合点する

創作者の意図、出来上がるはずのイメージを自由奔放な放射が超えたときの喜びは ひとしお であろうと思いました


2021年の年賀状は 、2020年内に描かれます

東京五輪も絡むはずだった2020 、疫病退散に集約できる1年は後世まで深く記憶されることでしょう

そして来たるべく新しい年を 文字の数より多い人数が力を合わせ 立ち上げ 並べ そして色彩を付けてゆく

残念ながらまだ その文字列は完成されていなくて 力を合わせ作っている過程だとのメッセージに受け取りました

世情が重なります

新しい年への期待と抱負など 干支に絡めます

干支は12の倍数により 自分が人生の年表のどの位置にいるかを再確認させます

しっかりと人間の生活に必要な笑い を仕掛け、笑みがこぼれます

とてもとても優しくて バランスが楽しい、記憶に残るnote.になりました

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第2回THE NEW COOL NOTER賞の応募期間は終了しました。
みなさま、たくさんの応募、ほんとうにありがとうございました。

引き続き、応募作品への講評と、授賞に向けた審査をお楽しみください。

よろしくお願いいたします。

*なお講評は分担制にしているため、必ずしも応募順に講評結果が発表されるわけではございません。よろしくお願いいたします。


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