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第2回THE NEW COOL NOTER賞~1/10講評(千本松さん~BL部門)


千本松さんの講評記事から、一部引用させていただきます。

小説は引き算です。どこまで削るかが勝負です。これは宮本輝の言葉ですが「一番言いたいことを書かない。書かずに書く」。彼がまだ文章の修業時代、先生に削りに削られ、それこそ一番いいところも全部削られて、泣きたい思いで、あの文体を築き上げたそうです。これはお二人とも分かってらっしゃると思います。二編ともズバリ「I love you.」 とは言ってませんよね。その代わり「月が綺麗ですね」という漱石の高等な技を踏襲しています。

正直に言うと、お二人の作品にも、まだ削れる箇所があります。私はどことは言いませんが、思い切って削って、それよりもっと書くべきことを足してください。このお二人にも難しいのですから、我々素人には相当難しいはずです。自分の書いた物を眺めて、どこまで削れるかやってみるといいです。十ページのものが三行になってしまってもいいんです。またそこから書き始める。しかし、一番いいたいこと(テーマ)は書いてはいけないのです。

BLの講評も終わりに近づいてきたので、少し私の思ったことを書いてみます。ズバリ言って、みんな大人しい。今回だってどちらの作品も、周りに誰もいないのですから、地面に押し倒してディープキスくらいしたらどうかと思うのですが。これって漱石の「月が綺麗ですね、うんぬん」とはまるっきり矛盾しますが。常世田美穂さんの前回の作品『(どっちでもいいよ)』は最初から最後までセックスの話でしたが、それでもやっぱり大人しい。現場はないわけですから。

BLって下半身だと思うんです。文学を装えばいくらでも美しく書ける。咄嗟に大したことは思いつけませんが、例えば「彼の熱く震える先端を舌でなぞっていたら、清く透き通った液が雫となって、その裏側にこぼれていった」とか。私だったらそんな御託を並べている間に、とっとと入れるところに差し込みますが。

なんでBLを書くのか? 男が、男の身体が好きで、特にあの部分が好きで、だから、もっと大胆に男の身体にむしゃぶりついていって欲しいものです。BLは男女の扇情小説と同じです。目的も同じです。脳の快感中枢を直撃するようなことを書いてください。真剣勝負です。気取っている場合ではないです。まだビデオが出回ってない頃、扇情小説はよくペンネームを変えた、一流作家が小遣い稼ぎに書いていたものです。文章の上手さは格別でした。何度も読んで唸っていました。あれを書いてみたいです。みなさんも書いてください。

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第2回THE NEW COOL NOTER賞の応募期間は終了しました。
みなさま、たくさんの応募、ほんとうにありがとうございました。

引き続き、応募作品への講評と、授賞に向けた審査をお楽しみください。

よろしくお願いいたします。

参加者同士の交流の場所を設けてございます。
お気軽にご参加ください。

*なお講評は分担制にしているため、必ずしも応募順に講評結果が発表されるわけではございません。よろしくお願いいたします。


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