第2回THE NEW COOL NOTER賞~12/26講評その2(みこちゃん)
みこちゃん寄稿です。
第2回THE NEW COOL NOTER賞へご参加いただいている皆様。
本日までに応募された作品のうち、紅茶と蜂蜜さんの作品について、講評させていただきます。
男女の言葉に表現できない機微を、非常に巧みに言葉にしている稀有な小説だと思いました。
語り尽くせないもどかしさを、言葉を探しながら小説を書いていくというやり方はよくあることです。これは作者の努力に反比例して、内容は平板になりがちです。
それは小説に明確な輪郭を与えますが、それと引き換えに言葉にならなかったもどかしさや機微が背景に後退してしまします。輪郭を交代した背景から再度浮かび上がらせるには、いわゆる才能が必要です。
紅茶と蜂蜜さんは、そうした非常に高度な小説を書ききっておられます。
「水」「髪」「白」「12時30分をを回った時計」「A定食のメニュー」「カレーの福神漬の量」「洋食屋」。
一見目についたものを無造作に配置しているように見えて、各シーンで極めて象徴的にその時の効果を背景から際立たせている。
ここにはありきたりの説明的描写がなにもないことが驚きです。
「水」「髪」「白」「12時30分をを回った時計」「A定食のメニュー」「カレーの福神漬の量」「洋食屋」がすべて必然的にそこに存在するので、くどくどした描写が無用です。すべてストーリーのなかに必然的に溶け込んでいる。
お芝居の舞台で、超一流の珠簾の小道具スタッフが入念に配置したような必然的で雄弁なモノ。モノから登場人物の心情がくっきりと輪郭を持ちます。
そしてそのさりげない描写の冒頭と末尾は、きわめて上質な性的な雰囲気が漂っている。
肉体的な性的描写に頼らずに、とても性的なリアリティを出している、構成的にも非常に巧みな小説だと思います。
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第2回THE NEW COOL NOTER賞への、みなさまのエントリーをこころからお待ちしております。
■募集期間 ―― 令和2年12月1日~令和3年1月15日まで
■応募方法
「 #第2回THE_NEW_COOL_NOTER賞 」のハッシュタグをつけてください。
特定の部門へのエントリを希望する場合は、さらに「 #第2回THE_NEW_COOL_NOTER賞 ○○部門」を付けてくだされば、各審査委員が拝見します(必須ではありません)。
※希望する場合は複数の部門への応募が可能です。
また、お一人様何作品応募いただいても構いませんが、授賞対象は1作品までとさせていただきます。
なお、過去作品でも応募可能です。その場合も、同様にハッシュタグをつけていただけるだけでエントリとなります。
よろしくお願いいたします。
参加者同士の交流の場所を設けてございます。
お気軽にご参加ください。
*なお講評は分担制にしているため、必ずしも応募順に講評結果が発表されるわけではございません。よろしくお願いいたします。
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