羊雲とジェーン・バーキン
午前中、自室に寝ころんで、次々と流れ来ては屋根の端に消え去る羊雲とにらめっこしていた。
その間、古いCDを引っ張り出しては掛けていたのだけれど、
もう何千頭目かの羊を見送った後、
” ジェーン・バーキン ” が「YESTERDAY YES A DAY」を歌い始めて、ハタと思い当たった。
「そうだ! セビリーヌはジェーン・バーキンに似てたんだ」
この春、アーティスト・イン・レジデンスで、フランスからやって来たジャジャ馬娘(親愛の情を込めて敢えてこういう表現。本当は、見た目と裏腹で、とてもセンシティブな)セビリーヌ・ユバールのことです。
居る間中、誰かに似てるなと思っていたのが、ようやく判明してスッキリしたところで、またまた思い出す。
彼女の残した作品の一部をもらい受けて、自分のプライベートな空間に置いた状況の画像を送るというプログラムに参加していたのだった。
いろいろな所に置いて、たくさんの画像を撮ったけれど、どれが良いかなと思って中々決められずにいるうちに、ちょっとバタバタとしたことがあって忘れていたのだ。
早速、起き出してその約束を果たす。
ずいぶんと遅くなっていたし、考えると変に改まってしまうので、舌足らずなメッセージを添えただけで取りあえず送ってしまう。
***
私は、これからもこうして羊雲を追いながら、過ぎた日々のことにとらわれて生きて行くんだろうな。
(やぁ。君は、あの時の、隠れんぼで倉庫の屋根に登ったはいいけど、誰にも見つからないでいるうちに、そこで何をしてたのか忘れてしまって、寝ころんで見上げてた時の君だね。
こっちの君は、確か、行き先を見失っていた春の海、だれも人のいない砂浜に寝ころんでいた時の君だ。)
・・・みたいにね。
普段、人に夢を語っているようでいて、その本人ときたら、、、
少年の日の傷心という、どうしようもないものに対する郷愁で、絶えず身悶えしている。
” YESTERDAY YES A DAY ”
毎朝、この”新しい朝”というものが、私の上に訪れて来ることが不思議でならない。
・・・非生産的な思惟に現をぬかす、怠惰な休日。
明日は、考えずに体を動かそう。
と思う。
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