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absence:アブセンス


知らない人からメールが届く。
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差出人:【中井ひなた】さん
件名:お元気ですか?
本文:
    (空白)
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・・・いったい私は、元気なのだろうか?



彼女といる。
その首のホクロが気になる午後に。

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昔むかしのこと、若い晩年。
左手人差し指にあるホクロを掘り出そうと、カッターを突き立てた。
出血。
苦痛と共に狂おしいほどの快感も得る。
変質的性格があらわになった午後。
それは、百の暁と千の闇を越えてパラノイアとなる。

**************
充実した生活、何の問題もない
また、あらゆる問題に対処できると
自信に満ちあふれて生活している左の私
ある時、
(例えば、アート体験)
一気に噴き出す右の自己
「いや、それは私ではない」と
静かに自己疎外の異議申し立てをする夜。
脳橋が右から左へと一方通行になる時
私は私を押さえきれない
ひとり夜のしじまに立ちつくす私は私ではない。
過去に幾度か「いったいあなた何者?」と問われた私が
そのまま私に問いかける

 「いったい私は何者なのか?」


 

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