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3万円以下でMacにThunderbolt 3の高速SSDを増設する方法

今時のMacは内蔵ストレージを後から交換できません。そのため、SSDの容量は最低でも256GB以上欲しいところです。しかし、たとえば2018年までのMacBook Airのエントリーモデルでは128GBからのスタートなので、使っていくうちに容量不足に陥ることも...。iCloud Driveの契約を有料プランにアップグレードして写真や書類などをクラウドに逃すこともできますが、それにも限界があります。

最近のMacならThunderbolt 3対応製品がおすすめ

そこでお勧めしたいのが外付けのポータブルSSDです。一昔前であればHDDと比べてSSDははるかに高価でしたが、半導体の価格がやや低下傾向にあるため価格差は小さくなりつつあります。最近のMacにはUSB-Cポートが標準で備わっているので、それに対応する製品を接続すれば基本的にはそれでOK。しかし、ファイルのバックアップや退避場所として使う分には問題ありませんが、動画ファイルの読み出しや書き込みなどバリバリ使うのにはちょっと力不足気味。一般的なUSB-CタイプのポータブルSSDで採用されている「USB 3.1 Gen 2」規格の転送速度は理論値で最大10Gbps、要するに1秒あたり1250MB転送できるわけです。実際にはそこまで出るわけではないんですけどね。

でもMacでは、このUSB-Cのコネクタを使って、もう1つのデータ転送規格が利用できるんです。それが「Thunderbolt 3」です。Thunderboltはバージョン2までは独自のコネクタ形状を採用していましたが、Thunderbolt 3はコネクタ自体はUSB-Cと共通の形状を採用しています。このあたりのややこしい話の解説は、今月発売のMac Fan 10月号に書きましたので参照していただけると幸いです(記事末にリンクあります)。

ともあれ、このThunderbolt 3規格に対応したポータブルSSDの最大の特徴は「クッソ速い」ことです(笑)。理論値で40Gbpsなのでスペック上の転送速度は通常のUSB-Cモデルの4倍です。シ○ア専用の赤いザクなんて目じゃありません。

安く買うならケースとM.2 SSDを組み合わせよう

しかし、このThunderbolt 3規格対応のポータブルSSDには、いくつかの難点があります。まず、製品自体の種類が2020年現在では比較的少ないこと、そして既製品については少々高額な投資になってしまうことです。もちろん、業務など信頼性が求められる現場では迷わず既製品を選びましょう。その場合のおすすめは個人的には「Samsung X5」一択です。容量は500GB、1TB、2TBとありますが、実売価格で1TBで4万8000円、2TBで7万3800円となっています。

そこまではちょっと...という人には、このThunderbolt 3対応のSSDケースと、SSDの基板本体を別々に購入して組み合わせるという方法がおすすめです。ケースと基板の相性があることや基板を触るため静電気が厳禁というリスクがありますが、メモリ増設くらいの比較的簡単な手間で同じ容量の既製品よりも3割、うまくいけば5割ほどコストを抑えられます。

今回選んだSSDケースはYottamasterという中国メーカーの「TB1-T3-GY」という製品です。デザインの違うTB2-T3-GYというモデルもあるようですが、違いはよくわかりません。Amazonで検索すると、もう少し安く提供しているメーカーもあるようですが、現状では1万5000〜7000円前後の価格帯が相場のようです。今は冷却のためのヒートシンクを装備していることや放熱性の良さそうなデザインであることからこちらを人柱的に購入してみました。

そして、ポイントとなるのはこのケースの中に搭載するM.2(エムドットツー)NVMeインターフェイスに対応するSSD基板です。同じM.2でもSATA接続のものではないので注意しましょう。また、基板の寸法によっていくつかのタイプがありますが、今回選んだケースに適合するのは長辺の長さが80mmの「M.2 type2280」です。さらにNVMeにはPCIe3.0(Gen3)と最新のPCIe4.0(Gen4)があって、世代が新しいほど高速ですが今回は価格がこなれているGen3から選択しました。

このSSDを提供しているメーカー(ブランド)は多数あり、予算や信頼性などで選びましょう。有名なところではSamsungやWestern Digital、San Diskなどがありますが、国産にこだわりたいというのであれば、元東芝メモリのキオクシアがいいかもしれません。普段は多少割高ですが、記事執筆時にはAmazonのタイムセール対象になっていました。

もう少し、リーズナブルなラインで抑えたい場合は米Micronのブランド「Crucial」などがありますが、P1のモデルはファームウェアをアップデートしないとYottamasterとの相性が良くないとの情報もあったので今回はドスパラでCFD販売の製品を購入しました。

Thunderbolt 3ケースにSSDの基板を組み込んでみる

そして先ほどケースと1TBのSSDが到着しましたので、早速組み込んでみることにしました。こちらの写真では比較するものがないのでわかりにくいのですが、Thunderbolt 3は一般的なUSB-C外付けケースよりも一回り大きく、放熱に適したアルミ素材や形状となっているのが特徴です。

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製品に付属していた3mmのプラスドライバでカバーを固定しているネジを外し、少しスライドしてパカっと開封します。内部の構成は結構シンプルですね。カバー側の裏側にヒートシンクとして銅板が貼られています。

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M.2のコネクタ部分にSSDを装着し、付属していた基盤固定用のネジで動かないように止めます。ちなみに付属するプラスドライバの精度は微妙なので、手持ちの精密ドライバを使ったほうがストレスはないかもしれません。あとは開けたのと逆の手順で閉じれば準備OK、慣れている人であれば5分とかからぬ作業です。

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そして付属のThunderbolt 3ケーブルを使って、MacのUSB-Cポートに接続します。注意しないといけないのは、普通のUSB-Cケーブルで接続してもThunderbolt 3非対応の場合は利用できない点です。あとはMacの場合はシステム付属の「ディスクユーティリティ」でAPFSまたはMac OS拡張(ジャーナリング)で初期化します

ベンチマークソフトでスピードも確認してみました。BlackmagicのDisk Speed Testでは読み出しが2200MB/s、書き込みが1700MB/s前後となっています。今回のCFD製品がエントリー向けモデルということもあって、Yottamasterの公称値である読み出し2800MB/sには達しませんでしたが、一般的なUSB-CポータブルSSDと比べてかなり高速であることがわかります。

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ということで、Thunderbolt 3接続のポータブルSSDの自腹レビューをお届けしました。MacなどApple製品に関する記事を「Mac Fan」誌に書いておりますので、よかったらこちらもお読みいただけると幸いです。



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