オーストラリアの子どもとギョウ虫
私は出産育児をオーストラリアでしてきました。
その育児生活は20年になりますが、オーストラリアの土地柄、国民性が日本のそれとは全く違う点がたくさんあり、子どもの教育の違いにも度々驚かされたものです。
基本的に何事にもおおらかであるオーストラリア人はあまり細かい事を気にしません。いろいろと考え過ぎてしまう性格の私にとって、そのおおらかさに幾度となく救われても来ました。
その経験の一つ。これにはハッキリ言ってカルチャーショックとも言える衝撃を受けました。
それは子どもとギョウ虫との関係です。
ギョウ虫とは、寄生虫のことで、主に経口感染で体内に侵入し、肛門周辺で何かしらの症状を感じさせるものです。(無症状の人もいます。)
日本で私が小学生だった当時、学校でギョウ虫検査のフィルムテープが配布され、学校に提出しなければならない日がありました。(今もあるでしょうか?)それ以来、ギョウ虫という言葉と向き合う機会はありませんでした。
ところが、ギョウ虫と直に向き合う日がやって来たのです。
長男が4歳くらいだった頃、突然お尻の穴が痒いと言い出しました。「お風呂でちゃんと洗えてないのかな?」と思い、お尻を洗ってあげたのですが、それ以降も夜になるとお尻の穴が痒いと言って泣き出すのです。“泣くほどの強烈な痒み”ということは、もしかしたらアレルギーや神経の問題でもあるのかもしれないと急に不安になり、受診することにしました。
診察室に入り、先生に「息子がお尻の穴を痒がっている。」と伝えると、先生はあっさり「Threadwormね。」と言いました。
当時の私はThreadwormが何かわからず困惑していたのですが先生の説明により、いわゆるギョウ虫だと分かった私は「うそでしょ?」と驚きとショックを隠すことができませんした。
見るからに不安になっている私に、先生は「お母さん、この州にいる95%の子どものお腹にはThreadwormがいるんだから、そんなに心配しなくて大丈夫。薬だって小さいチョコレートみたいなのを2かけ食べれればそれでいいから。」と言うのです。
「95%の子どものお腹にギョウ虫がいるのか・・・。」とそれもまたショックではありましたが、先生の更なる説明で私は安心することができました。
私達が住む州でギョウ虫が一般的なのは、年間通して春から夏のような気候であることが大きな理由で、子どもは自然の中で自由に遊びまわり、あちこち触った手で友達と食べ物を分け合って食べる。家にはペットがいる。その他諸々の理由もあり、それで寄生虫に感染しないなんて無理がある。と言うのです。
「なるほど。オーストラリアに住むということはそういうことなのか。」と腹をくくった瞬間でした。
お陰様で、チョコレートのようなギョウ虫駆除薬を服用した長男のお尻には、その日の内に平和が戻りました。
聞くところによると、症状がなくても定期的にギョウ虫駆除薬を服用している家庭も多いらしいので、細菌やウィルス対策同様に健康管理の一環としてギョウ虫駆除をするのも一つかもしれません。
(日本で必要かどうかわかりませんが・・・。)
自然と共存するという意識を持っていることや、起きた事をそのまま受け止め、物事をあまり深く考えないオーストラリア人の思考は、ある意味私のお手本でもあるのだと、今更ながら実感しています。
★毎週月曜日更新。次回は6月10日です。★
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