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人生の主役は自分

私がオーストラリアで足ツボマッサージを施術するようになって約16年になります。住んでいる土地柄、人種や国籍、性別を問わず、様々な方々との出会いがありました。

その中の一人、あるオーストラリア人の女性のことは時々思い出して、今どうしているだろうかと考える事があります。
その女性は、当時50歳半ばで、友人の紹介で私のところに来てくれました。長年に渡り体調が悪く、治療を受けてはいるものの体調回復がないとのこと。
顔の表情はとても暗く、体は体重過多。足はというと、全体に毒素が溜まり、むくみもあります。マッサージも叫ぶほど痛がっていたので、もう二度と来ないのではないかと思いましたが、私の予想に反し、月に何度か1年以上私の所に通ってくれました。そして徐々に足から毒素が抜け、体重も減り、少しずつ体調が回復してきたのが見て取れました。

ただ、一つ足ツボだけでは解決できなことがありました。

自分自身に対しての劣等感や人生の後悔からくる心の在り方です。過去に離婚経験があり、実の両親や兄弟とも折り合いが悪く、常に心の安定を求めていました。私に泣きながら離婚を後悔していること、自分の容姿や人間関係の苦悩について話してくれました。

以前の投稿でも書きましたが、私はお坊さんの指導を受けて仏教を信仰しています。彼女の話を聞いて、私ができる事は彼女の為に仏様に祈る事だと思い、「あなたの為に仏様に祈っている」と伝えた事がありました。その時の彼女の嬉しそうに涙ぐんだ顔を忘れることができません。キリスト教徒の彼女にとっても、自分の為に誰かが祈ってくれることに、とても大きな意味を感じてくれたのだと思います。

そんなある日、彼女が当時遠く離れた場所に住む元夫に会う機会がおとずれました。久しぶりに元夫に会い、連絡を重ねるうちに、また一緒に暮らせるようになりたいと感じたことを私に話してくれました。ただ、そんなことをしたら両親や兄弟にバカにされたり、ののしられたりするのではないかと思うと、本当の気持ちを抑えてしまうと言うのです。

その気持ちもわからないわけではありませんが、1年以上彼女の様子を見てきた私は、彼女の背中を押したくなりました。そこで「これはあなたの人生であって、親や兄弟の人生ではないでしょ?これ以上後悔したくないんじゃないの?」と話すと、しばらく黙って考えていました。

そして、数日後彼女から1通のメールが届きました。

その内容は、自分の気持ちを元夫に話すことができ、再び一緒に暮らせるようになったこと。成人した子供たちにも報告をしたこと。仕事はやめて引っ越しをすること。などが書かれていました。

元夫と暮らすようになった彼女には、それ以来会うことはなくなりましたが、今もどうか幸せでいて欲しいと思います。

思い切った行動は、時に人から揶揄されることがあります。でも、自分の人生は自分のもの。私もできるだけ悔いのないように一日一日を生きたいと思っています。そのためには、正しい指導の元、日々自分を高める努力が必要だと思います。私にとって、それが日常に仏教を取り入れる事です。

心と体を仏教で整えて、みなさんも悔いのない人生を生きて欲しいと思います。

毎週月曜日更新。次回は7月22日です。★



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