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諦めないで、未来は変えられる

私の名前は美咲。38歳、独身、子供もいない。毎日がただの繰り返しで、家と職場を行ったり来たりするだけ。仕事は事務員で、特にやりがいを感じるわけでもなく、収入もそれほど多くない。何もかもが中途半端で、もう何年も前から、夢や希望なんてものを抱くことさえ諦めてしまっていた。

友人たちは次々と結婚して子供を産み、幸せそうな家庭を築いていく。彼女たちのSNSには、夫と一緒に旅行に行った写真や、子供の成長記録が溢れている。それを見るたびに、私は深い溜め息をついてしまう。自分にはそんな未来が待っているとは到底思えない。何度も婚活を試みたけれど、出会うのは上手くいかない人ばかりで、心が折れてしまった。

「どうせ私なんか、誰からも選ばれない」

そんな負け癖がついてしまっていた。家に帰ると、すぐにテレビの前に座り、お酒を片手にぼんやりと時間を潰す。寂しさを紛らわすために始めたSNSのチェックも、友人たちの幸せな投稿を目にするたびに逆効果だった。私の人生は、このまま何も変わらずに終わっていくんだろうと、心のどこかで諦めていた。

そんなある日のこと。休日の午後、近所のスーパーに食材を買いに行った。特に目的もなく、ぼんやりと店内を歩いていると、ふと目の前に中学時代の同級生、由美の姿が目に入った。由美は、当時は勉強も運動も苦手で、クラスの中でも特に目立たない存在だった。正直、あまり良い印象は持っていなかった。

でも、その日見た由美は、私の知っている彼女とはまるで別人だった。彼女は旦那さんと小さな子供と一緒に、楽しそうに笑いながら買い物をしていた。その幸せそうな姿に、私は驚きと同時に強い衝撃を受けた。彼女がこんなにも輝いて見えるなんて、全く想像もしていなかったからだ。

「私と何が違うんだろう?」

その疑問が頭をよぎった。あの日以来、私はずっと心の中で自問自答を繰り返していた。このままでは駄目だ。由美があんなに幸せになれるなら、私だって変われるはずだと、そう信じることにした。

「もう一度だけ、頑張ってみよう」

そう決意した私は、自分を変えるために少しずつ行動を起こすことにした。まずは、見た目から変えることにした。長年同じ髪型だったけれど、思い切って美容院でカットし、新しい服も買い揃えた。美容室の鏡に映る自分を見て、少しだけ前向きな気持ちになれた。

次に、健康的な生活を送るためにジムに通い始めた。初めは辛かったけれど、運動をすることで少しずつ体重も減り、体調も良くなってきた。それに伴い、自分に対する自信も少しずつ戻ってきた。

そして、自分の内面も磨くことにした。料理教室に通い始め、新しい友人もできた。自己啓発の本を読み、自分の考え方や行動を見直す努力をした。特に大切だったのは、毎朝「今日は素敵な一日になる」と自分に言い聞かせること。最初は恥ずかしかったけれど、その積み重ねが私の心を少しずつ変えてくれた。

一年が経つ頃、私は以前の自分とは全く違う姿になっていた。そんな中、友人の紹介で出会った男性がいた。彼は私の内面をしっかり見てくれる人で、私たちはすぐに意気投合した。彼とのデートを重ねるうちに、お互いの気持ちは深まり、ついにはプロポーズを受けた。

「美咲、君と一緒にこれからの人生を歩んでいきたい」

彼の言葉に、私は涙が溢れた。あの日、由美の幸せそうな姿を見ていなかったら、私は変わることもなかっただろう。由美に感謝の気持ちを伝えるために、久しぶりに同窓会に参加することにした。

同窓会の会場で、久しぶりに会った由美は相変わらず笑顔が素敵だった。私は少し緊張しながらも、彼女に近づいて話しかけた。

「由美、久しぶり。ちょっとお話ししてもいいかな?」

由美は驚いた様子だったが、すぐに微笑んでうなずいた。私はその場で、彼女に感謝の気持ちを伝えた。

「由美、あの日スーパーであなたが幸せそうに家族と過ごしている姿を見て、私も変わらなきゃって思ったの。あなたのおかげで、私も幸せを見つけることができたんだ。ありがとう」

由美は涙を浮かべながら私の手を握りしめた。

「美咲、おめでとう。私も嬉しいよ。あなたが幸せになるのを見られて、本当に良かった」

人生は、いつからでも変えることができる。それを教えてくれたのは、由美と私自身の努力だった。今、私は幸せな家庭を築き、新しい人生を歩んでいる。皆さんも、諦めないで。努力すれば、必ず素敵な未来が待っていると信じているから。

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