いつものように朝が訪れ、明るくなってもまだ虫たちが鳴いています。腕の先に付いている葉から出していた水蒸気と二酸化炭素は、太陽が昇ることで酸素にチェンジします。
足の先から大地に広く深く広げている根から、必要な分だけの水を吸い上げます。それは、体の中心部を少しずつ上がって、頭や葉先から空中に散って行きます。
腕を横に伸ばしていると、さえずっていた小鳥が腕にとまりそうです。しかし今日はなかなか近づいてきてくれません。気まぐれな彼女たち。そのうちまたひと休みでもしに来るでしょう。
そう、私は木です。いや、正確にいうと、木になったつもりの人です。大地に根を伸ばし、広げた枝で木陰を作る感覚。おおらかな気持ちになります。特にそこから動けないという事実が人とは大きく違うことを実感します。
ネイチャーゲーム〈木の一年〉を真似た、超ショートバージョン、「木の朝」という感じでやってみました。虫たちの声はセミの声に切り替わりました。
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