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キライなものは欲した時に


突然だが、

私は野菜が

大嫌い


だった。



そんな私を見かねて、母はよく色んな作戦に出た事を覚えている。

例えば、
ハンバーグの内臓にニンジンを仕込んでみたり
取るのが怠いくらいに小ネギを散らしてみたり、
餃子なんてもんはもう皮を食べるしか無い。

私はその愛情の押し売りをよく防衛していたもんだ。

給食なんてもんはもう最悪だった。

何度キライな女子に責め立てられ、味噌汁で野菜を飲み下したか分からない。
ここで嫌いな食べ物は味噌汁で飲み下すという技を身に付けた。

それくらい嫌だったのだ。


しかしそんな偏食の私にも天気が訪れる。


一人暮らしだ。


相変わらず好きなものしか食べず、しかし責め立てられない。
その日常を謳歌していた私だったが

なんだかその日は落ち着かなかった

何でもいい‥ 

野菜が欲しい

体が訴えてきたのだ。


私はよく脳内で会話するので、こう答えた。

(しかしなぁ‥食べられる野菜がないんだ。)
(甘いのならイケるんじゃないか?)
(甘い野菜なんて無かろう。苦いのばかりだ。真面目に考えろよ)



そして、たまたま何とかクッキングを目にした。

「本日は人参のソテーです。」

(人参だ‥そういえば人参ってどんな味だったっけ)
(色的には‥ふむ甘そうだ。だが‥今まで味噌汁で喉に流してきた私には、味の記憶がない)

気がつけばスーパーの野菜コーナーで一本の人参を手に取っていた。


「‥これ、どう調理したらいいんだ」

こんな時に便利なのがネットの簡単レシピである。

「初心者、人参‥レシピっと」


人参ナムル‥うげぇ、まずそうだ。
人参と卵の炒めたやつ‥卵だけでええやん。
人参スパゲティ‥シャリシャリしそ‥


「よし、とりあえず砕こう

私はめんどくさくなって、人参を1センチほどの小さなブロックに切っていた。

「これなら火も通りやすいし、すぐ食べれるんじゃないか?」

単純な考えだった。

それを無心で炒めていると、何だかめちゃくちゃいい匂いがしたのだ。甘い香ばしい匂いだ。

何気なく一ブロックつまんでみる。


「ンな!?なにこれうまぇ〜」



味付けもしない人参ブロックの皿は空になっていた。


「人参って‥うまかったんだな‥。それじゃあコレをバターで炒めたらもっと旨くなるんじゃ?」

その衝撃的な日から、

私は料理研究家に


‥なるはずもないが

ここからほぼ全ての野菜を食べれるようになる。

そこに興味が生まれたのだ。

以前話したが、私は興味ってやつにとことん弱い。
一度生まれてしまえば、わりと勝利を手にする。



私の野菜嫌いを治したのは

手を尽くしてくれた母でもなければ
やかましい同級生でもない

私を治したのは私だった。


今や母の方が嫌いな野菜が多い事も分かった。


因みに

その後唯一どうしても無理な食べ物も判明する。


高級食材の

ウニ

だ。

食べるだけなら可能なのだが、
これだけはどうしても戻してしまう。
過去2回挑戦してみたが、食して10分後には脂が喉から迫り上がる感覚に襲われるのだ。



よく、
他人は変えられない。自分を変えろ。


なんて言葉を聞く。

聞いて欲しい、

これは真だ。


タバコだってそうだろう。酒もそうだ。
自分の気持ち次第なのだ。

これは何か目標がある時も同じで

何かを得たければ、何かを失えなんて極端な事はない。

興味を持てたら受け入れてみる

そんで、ダメな時はダメなのだから
無理をするな。
もしかしたら、ある日突然他の道が見つかるかも知れない。

それでいいのではないだろうか。



本日はここまで!🐀


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