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「待つ」チカラ~コンビビアルなマネジメント㉗

 これまでコンビビアルについて色々とお話をしてきましたが、それらをすべて包摂していくために、わたしが大切にしている要素がもうひとつあります。

 それは「待つ」ということです。言い換えると、判断を保留するチカラ、胆力です。聴くチカラと同様に受け身の印象を持たれるかもしれませんが、これらは決して受動的なものではありません。意志をもって「聴く」「待つ」のです。
 即座にレスポンスした方がよい場合も勿論多いですが、事態、関係性等を見守ることが大切なことも多々あります。特にネガティブな状況において、フリーズではなく、しっかりと痛みをもって見守ることで、その後の事態や関係性がしなやかなものになることがあります。どうしてもネガティブな状況では、打破するために何かしらすぐにアクションしたくなるかフリーズしてしまうものです。しかし、それらはただの「反応」でしかありません。

 様々な関係性が流れのなかで動的に変化します。そのなかで衝突することがあるのは、不快なことかもしれませんが、とても自然なことです。この不快な状況から逃げずに向き合うことで、次のステップに入ることができます。とても痛みを伴うことではありますが、リーダーを中心にそれをしっかり受け止め「待つ」のです。意志をもって「待つ」ことが、組織としてできれば、事態は好転しはじめます。

 「待つ」を活かすのに大切なことは、不快な状況は次のステップの入口であり深化の過程の喜ばしき証である、ということを認識し事前に仲間とそのことを共有しておくことです。そうすれば、不快から逃げることなく、愉しみながら乗り越えていけるはずです。そのような「空気感」を醸成しておくのです。

 「待つ」ことがしにくくなっているのが現代です。「待つ」ことは「不快」であるという強力なバイアスが社会によってかかっていることを知るべきです。
 「待つ」ことはしなやかでなければできません。しなやかな木々でなければ嵐をやり過ごすことができないのと一緒です。「待つ」胆力を養うことで、コンビビアルな態様は個人としても組織としても包摂されていくのです。

続く

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