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オトナの責任と誇り~コンビビアルなマネジメント⑬

 ここまでコンビビアルな態様について、わたしが日々の現場で感じていることをお話してきました。このカタチでなければコンビビアルではない、ということは決してありません。必要なのは、個人としても企業としても、よい「姿勢」であることです。そして、その「姿勢」をとるには、自分自身に染みついているバイアスを正しく認識し、新たな「羅針盤」を手にすることなのです。

 この新たな「羅針盤」を再構築するにあたって核となるのが、コンビビアリストの要件、場所形成/主客非分離/非自己、の実体化です。個人だけでなく企業組織においても同様です。大切なのは、近代社会の「常識」を転倒させる気概とそれを支える知の基盤であり、要件の実体化を果たしたあと、組織やコミュニティ(それぞれの場所)でそのよい「姿勢」をお互いに促進させるカルチャー、空気感を醸成させることなのです。

 空気感、言葉としては見えないもののように、そして「場所」から他律的に与えられるものかのように感じられるかもしれませんが、実際は観えるものであり、それぞれが自律的に創りだすものです。

 組織としての空気感は人と人の関係性から発露されます。それぞれがコンビビアリストの要件を満たしていれば、「場所」ごとにそのカタチは違ったとしても、組織は、心地よい空気感に満たされコンビビアルなものにならざるをえません。

 コンビビアルな社会は、このような組織/場所が当たり前になることで実体化されます。そのような社会を未来に引き継ぐことが、いまオトナが真摯に向き合うべき課題です。この課題をここでクリアできないことになれば、エティエンヌ・ド・ラ・ボエシがいう「自発的隷従」の習慣を子どもたちに引き継ぐことになってしまいます。それはオトナがすべき振る舞いではありません。少なくともわたしはそのような習慣を子どもたちに引き継ぎたくはありません。

続く

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