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コンビビアルな組織とは~コンビビアルなマネジメント⑥

 ここまでコンビビアリストとはどのような人なのかについてお話してきました。では、コンビビアルな組織とはどのようなものなのでしょうか?

 個人もいかなる組織も絶えず流れる川のように動的なものであることは間違いありません。人が生命体であるように組織も生命体です。まずは、組織も生命体であり、動的なものであることを深く身体知として認識することが必要です。

 一九九〇年代以降、世界で組織のつくり方の基盤は大きく変化してきています。その流れは、まさに生命体組織づくりです。他方、二〇二〇年代にはいった日本はどうでしょうか?その流れを横目に見、アタマで理解していたとしても、現場は階層組織のまま、というのが実情なのではないでしょうか。少なくとも組織のカタチは多少なりとも変化していたとしても、ヒエラルキーの上部にいるマネジメント層が真の変化(身体知化)をしていないことがほとんどではないでしょうか。
 まさに政治はそれが端的に表出している領域だと感じます。

 ここで改めて階層組織と生命体組織の違いをまとめてみます。その違いはとてもシンプルなものです。

 階層組織は外発的動機で仕事が為されるのに対し、生命体組織は内発的動機で為されます。
 階層組織に属する人は「恐れ」をもっているのに対し、生命体組織に属する人は「責任感と誇り」をもっています。
 階層組織は官僚制がはびこり、内紛で時間を無駄にし、意思の疎通はなく、(無意識であっても)変化に抵抗する勢力で溢れています。
 生命体組織は、中間管理職は不要になり、それぞれに自律的なアクションが求められ、それが賞賛され、相互信頼のもと、絶えず変化を求めるパワーに溢れています。そこには、ボスのケツの穴を舐めるだけの中間管理職はおらず、ケツの穴を舐められて喜ぶボスもいません。

 生命体組織は、閉鎖系ではなく開放系であり、異なる領域の革新者に触れる機会を能動的に創り、その革新者と紐帯をむすぶ者を核にしたネットワークを再構成しながら進化していきます。個人の保有する情報や紐帯を開放することにインセンティブを与えていくのです。そのリーダーは仲間を信じ、様々なことを自律的に行うことを求め、失敗の責任はとり、成功の名誉は与えるのです。
 このように言語化すると、理想的ではあるが実体化が難しいかのようにみえるかもしれませんが、そんなことはありません。当たり前に実体化されるべき、現実的なものであるはずです。
 こどもは友達と協働作業をするとき、インセンティブなどなくても、このように自然にことは為されます。
 その方が愉しく、上手くいくからです。

 そんな当たり前のことを当たり前にできる組織、それが、生命体組織、つまりコンビビアルな組織です。

 次章では、このコンビビアルな組織の創りかたやそれを創る際に留意すべき点についてお話します。

続く

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