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スキル~コンビビアルなマネジメント⑲

 これからの時代に必要な「スキル」は何でしょうか。

 マネジメントスキル、コミュニケーションスキル、子育てのスキル等々、世の中は様々なスキルで溢れかえっています。これは多くの人が、そして社会全体が「不安」を抱えていることの裏返しだと思います。わたしはスキル自体を否定はしませんが、獲得するスキルが自分自身のコンビビアルな生き方や働き方に繋がらなければ、その価値はないに等しい、と考えています。
 では、どうやって繋げるのか。

 何かのスキルの獲得自体を「目的」にすることは、学生であれば良いと思いますが、「社会」にでたあとであれば、わたしは違和感を少し覚えます。更に、その動機が、このスキルがあれば昇進/転職しやすいからとか、何かしら具体的なスキルをもってないと不安だから、ということであれば、なおさらです。「スキル」は、目の前にあること、日々向き合っていることを愚直に深く掘り進んだ先に、結果として身につくものだと思っているからです。
 日々の生き方や働き方の姿勢が「スキル」の質に多大な影響を与えます。差別化するべきはスキルのラベルではなく、スキルの「質」です。ラベルに振り回されすぎてはいけません。それはいつまでも時代に左右され続けるしかないレッドオーシャンの入口だからです。

 これまでのバックグラウンドと違った領域でのスキルを獲得したい場合は、スキルの獲得を考える前に、まずその「場所」に入り込むことが必要です。スキルがなければ入り込むことができない場合もあるかもしれませんが、それでもどこかにその「場所」はあるはずです。そして、その「場所」で最初は目指しているスキルに直結しないように思えることであっても、愚直に目の前にあることに、徹底的に向き合うのです。主客非分離の状態で深く深く掘り進んでいくのです。そうすれば、必ずや「スキル」は身につきます。そして、その姿勢があれば、目指していたスキルを身につけることができる「場所」に辿りつきます。

 様々なスキルがありますが、それぞれを掘り下げると各スキルを横断する地層のようなものに突きあたるとわたしは考えています。その地層を耕すと、一般的にスキルと呼ばれないようなことでも、「スキル」となります。聴くチカラなどはその典型です。
 そして、その地層を耕すことができれば、その後、別の「場所」で別のものを掘り下げても比較的スムースに「スキル」になります。更に、このようにして獲得した「スキル」は別の「場所」で転用することができる、ポータブルなものとなります。

 何よりも、このアプローチを取り続けることで、自分の得意なこと、特異なことがみえてきます。自分の特異性(個性)は自分自身では案外分からないものです。本質的な特異性は、非自己の領域に隠れていることが多いからです。自分の非自己を少しずつ明らかにしていくことで、何が特異なことなのか、本当にしたいことは何なのか、がそのカタチを現わしてきます。カタチがみえてくれば、あとは、その「場所」に飛びこめばよいのです。

 この姿勢をもつことで、「スキル」を次々に獲得しながら「領域」を跨いで自由に闊歩できるようになるとわたしは思います。まさにコンビビアルな生き方、働き方です。
 スキルのラベルに惑わされないことです。ラベルの先にはレッドオーシャンしかありません。目の前の場所の深いところに、ブルーオーシャンはあるのです。本物の「スキル」は自分が得意なこと、特異なことの先にあるのです。

続く

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