徒然なる同棲

彼氏と同棲を始めて1ヶ月が経過した。
想像以上に穏やかな日々を過ごしている。

以前占いに行ったときに、あなたは実家を出た方がいいと言われた。実際に出てその言葉は案外当たっていたのかもしれないと思った。
生まれてからこの方ずっと実家暮らしで家事や自炊に不安があったものの、自分なりに掃除はまめにするし料理もほぼ毎日している。時間の隙間が減ってダラダラ過ごすことも減った。良い傾向である。

昨日、彼氏と仕事が終わる時間が珍しく被ったため外食をして帰った。近所にあって気になっていたバル。常連客が多くて一人で入る勇気がなく彼氏を道連れにすることにした。
1階のカウンター席は埋まっていて2階へ通された。急な階段を登った先は天井の梁が剥き出しの素朴な隠れ家みたいな場所だった。大きなガラス窓が少し開いていて秋の気持ちの良い夜風がゆるく入ってきていた。
ふたつあるテーブル席には先客がいて、わたし達と同じくらいの年齢のカップルだった。
店内にかかる音量が少し大きい洋楽に負けないためか。緊張があるのか。大きめの声でハキハキと話すカップルだった。
とりあえずビールと、おつまみの盛り合わせと燻製の盛り合わせを注文した。お通しでビールを飲みながらお互い仕事の調子について話した。
料理はどれも美味しくて量もちょうどよくボリュームがあった。彼氏が丁寧に作られている味がするねと言った。全面的に同意した。
おつまみの盛り合わせにドライいちじくに蜂蜜をかけたものがあって嬉しくなった。甘いもので飲むお酒大好き。
先客のカップルは店内に置いてあったウォーリーを探せを読みはじめて静かになった。
向かい合って座っていた席から隣の席へ女性が移動していて距離ってああやって詰めればいいのかと思った。
追加で注文したコロッケも肉厚で美味しくてまた来ようと思った。常連になって気軽に飲みたい気持ちもあるけれど、もう一度くらい彼氏と一緒に行かないと1人で行く勇気が無い。
お店を後にしてコンビニでカップ麺を買って帰った。
同棲前は飲みに行って帰り道が別れるのが堪らなく寂しかったので同じ家に帰れるのが嬉しかった。

家に帰って半分こして食べたカップ麺の味と、寝落ち寸前のわたしを起こす彼の手の温かさを幸せとして忘れないでいたいと思った。

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