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能傍タルツの実話怪談コレクションその九 「現代筑前奇談考」-8月-『よくあること』

 何年か前、
 仕事先の先輩の西さん(仮名)に
 何か不思議な話を知りませんか?と聞くと
 「そういうのは別に無かバッテンねえ…」
 と、言いながらこんな話をしてくれた。
 
 国鉄でも西鉄でも。
 特定の踏切とかの話ではない。
 
 深夜に突然、かんかんかんかん
 警報器が鳴り出し
 遮断機が降りてきたのに
 いくら待っても貨物列車も工事点検車両も
 何も来ないことがしばしばある。

 そんな時は
 必ず踏切に「くび」が転がっているのだ。

 おそらくは人身事故か何かで
 飛んだのであろう。
 自分が死んだことを知らせたいらしく
 目が合うと
 してやったとばかりに
 にやっと笑う。

 そうしてやっと
 踏切が開くそうだ。
 言うまでもなく
 その前後、電車は一切通らない。

 「そげな事は誰でもよくあろう?」
 「いやいや!ありませんよ!」
 「え~?そんなこと無かろうもん? 
 オレしょっちゅうあるバイ!」

 西先輩の話はまだまだ続く。

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