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冬季運航は寒い方がありがたい話
パイロットとしては冬場はとても気を使います。
今年の冬は暖冬でよかったね、なんて話も聞きますが、僕としては暖冬の方が怖いです。雪が降っていたなら0度付近よりむしろマイナス10度くらいになってくれた方がありがたいです。航空従事者の方々ならここまで書いた段階で、
「そりゃそうだよね」
となるはずですよね。
スラッシュという単語を聞いたことはあるでしょうか。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/20890807/picture_pc_161a30ca1aca3873d6ab495d2bd0b512.jpg)
こんな感じのベチャっとした雪です。日本語では雪泥(セツデイ)というらしいです。スキー、スノーボードをやったことがある人なら分かると思いますがエッジが効かないというか、キレのないターンになるこの黒い雪。
航空機のタイヤも例外ではなく気温が0度位の時、雪が降っていると溶けてスラッシュになり滑りやすくなるので横風に弱くなるのです。
ご存知「西高東低の冬型の気圧配置」の時には風が強くなります。
空港というのは年間を通じて有利な様に滑走路方向が設計されているのですが、ふと横風でガスト(突風)が入る時があります。そうなると横風制限を気にしなくてはなりません。
Slushがある様な暖冬だと困ったことに雪質のせいで横風オーバー、なんてことは多いです。それが近隣の代替飛行場にも及ぶとなると色々厄介で、副操縦士としては仕事が増える増える。。
目的地近隣の空港の現況とTAF(予想)をとって適した空港を機長に助言する必要があります。最終判断は勿論機長ですが、FOも自分ならどう思うか、というのを持っておかなくてはなりません。
ちょうどこの記事を書く1週間前に海外空港で上記の状況になって真剣にダイバートを検討する経験をしました。なかなかタフでした。日本から数千マイル飛んでクタクタの中、燃料を精密に考えて検討する作業は上空の回らない頭で行うのはとても疲れます。
先週は結局なんとか風もギリギリリミットインして降りられたのですが、これがダメだったらどうしようか、というシナリオを考えながらのアプローチは緊張感がありました。
僕らはあくまで黒子なのでお客様に我々の苦労は見えません。何事もなく定刻に到着して降りていくお客様の背中を眺めながらホッとしていました。
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