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リモート環境で“振り返り”を導入できた

新年ベルリレー 🎍 4日目を務めるのはリードデザイナのヒラノです!
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ベルフェイスに勤めてかれこれ2年が経過しましたが、なかなか心理的安全性というかチームビルディングに課題をずっと感じていました。

上手くいっていない理由はいくつかあるのですが、大きなところで開発の方針にばらつきが多くまとめる人がいない、弱いみたいなところがあり個人プレーの改善で回してきているような状況でした。
※個人の感想です。

しかし2020年は会社全体で人数も急増(100人→300人に爆増)し、エンジニアもディレクタも個人プレーで上手くやるのは不可能なのが徐々に広がっていきました。

改善案の1つとしてプロジェクト制といった体制が2020年8月から始まり、「このメンバーでこの期間内にこれを達成する」といった約束事を設けてディレクタ・エンジニア・デザイナを専任で集めて「チーム」でコミットできるようになりました。

正直書いててお恥ずかしい制作環境というのは重々承知ですが、本記事で紹介する振り返りを始め、2020年は様々な施策、NEWメンバーが入ったことで徐々に改善はされていっています。
※まだ良い状況とは言い難いですが、多分2021年内には恥ずかしくない制作環境にはなれると思っています。

本記事では、ベルフェイスの開発にこれまで「振り返り」という文化がなかったが、導入と浸透をさせた話を紹介します。

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振り返りとは何か

振り返りとは自分の内面や行動を思い返して、過去の自分と向き合い気持ちや思考を整理することです。
今回の場合は「個人」ではなく「チーム」での振り返りにフォーカスした話になります。

失敗と思ったこと、上手くできた経験を共有して、個人ではなくチームとしての硬度を上げるのを目的にしています。

なぜ振り返りを始めたのか

冒頭で紹介したように、ベルフェイスの開発グループでは心理的安全性の欠如が激しかったです。

これは仲が悪い、傷つけ合うといったものではなく、これまでメンバー間の関わり合いが薄く、「発言をして大丈夫なのか?」「自分が発言をしてここまで大丈夫なのか?」といった遠慮の塊みたいなところで、なかなか一歩踏み込んだ行動にハードルが高い状態でした。

プロジェクト制を設けたことで、「誰に何を期待する」が具体化されたことにより発言のしやすさ、責任範囲を共通認識しやすくなり私のいるプロジェクトでは、コミュニケーションとアウトプットが一気に加速しました。
※話題はそれますが、このプロジェクトチームは後に社内で表彰されました。

自分としてもこのプロジェクトチームは上手くできたが、確実にもっと強くなれるといった確信があったためプロジェクト終了後振り返りを提案しました。

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※やろうやろうと思いつつ、別のプロジェクトで慌ただしくなったこともあり、提案が遅くなってしまったのは悔やまれるところでした。

提案したところ、メンバー内では「ぜひやろう」となり、スムーズに実施する流れになりました。

どのように実施したか

振り返り自体は前職で何度もしていたので、私としては抵抗はなかったのですが一点気になっていたのが「オンライン」で行うことです。

弊社はフルリモートで開発しているメンバーがほとんどで同じ空間にいるほうが稀です。
本社が東京にあり、私が名古屋で引きこもってるのもあり1年経っても未だに対面したことのないメンバーが多数います。

これまでは対面で振り返りをしていたのをどう、オンラインでも問題なくできるかを最初悩みましたが、結論miroで行うようにしました。

miroを選んだ理由はやりたいと思っていたことがこのサービス内で完結できそうとなったからです。

振り返りでやったイベントは下記の2つです。

時系列を振り返り、当時の感情を可視化する
YWTで皆の考えをアウトプットする

振り返りといっても手法は星の数ほどあり、その中でこのイベントを選んだ理由はチームとして未熟でまずはお互いを知る。といった強度の低い関係性を整えるという目的を重要視したからです。

時系列を振り返り、当時の感情を可視化する

前職で結構気に入ってた振り返りの手法で、このやり方が専門用語とかで適切な言葉があるのかわからないのですが、エモーショングラフ(感情曲線)と私は呼んでいます。

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これはプロジェクト開始時期から終了までの間の時系列でメンバー各自が実は当時どのようなモチベーションだったかというのを赤裸々に発表するものです。

当時のことをメンバーが思い出しやすいように一週間ごとに線引してプロジェクトの専用チャンネルを遡り大きなインパクトがありそうな出来事を予めタイムラインに記載しておきました。

エモーショングラフの良いところは、自分にフォーカスした内容を言語化せずにアウトプットできるので、振り返りの熟練度が低くくても安定して自分の事をメンバーに共有できることです。

また、ネガティブ状態があった事のアウトプットでもメンバーに受け入れられやすく、信頼値が上がる→心理的安全性もテンアゲといった状態を作りやすいので、早熟なチームにオススメの振り返りの方法です。

YWTで皆の考えをアウトプットする

エモーショングラフでメンバー全体での温度感を共有したら、振り返りのテンプレに使われるY(やってみた事)W(わかった事)T(次やること)の出番です。

通常振り返りと言うとK(Keep)P(Problem)T(Try)が出てくると思うのですが今回はYWTで行く選択をしました。

このプロジェクトのメンバーは関係値も浅く、どう転ぶか不安があったためなるべく振り返り自体を成功体験として持ち帰って欲しいという気持ちがありました。

KPTの場合ネガティブに捉えやすいアクションが少ないためYWTを選びました。

このプロジェクトでは各職域のメンバーが自主的に動き、相談をしたら誰かが自然にフォローに入れる体制で進めれたためネガティブな要素での意見は少なく、こうやって良かった。でも次はこうやりたいといった成功体験ベースの意見が多く良い雰囲気でした。

やってみてどうだったか

ちょっとずるい話なのですが、この振り返りは絶対成功体験として持ち帰りをしてもらいたかったので、プロジェクトが成功したものでやるぞ!と思って提案しました。

実際それがいい感じの効果があり、他のプロジェクトでも振り返りが自然と行われるようになりました。

うちのプロジェクトメンバー以外も冒頭に上げたような悩みは誰しもは持っていて、なんとかできるならしたいという改善の気持ちは皆持っていました。
ただやり方がわからない。提案に自信が持てないといった状態でいたようで、エンジニア・ディレクタ・デザイナの各職域で「振り返りが良かった」という体験が共有されていき、自然と別プロジェクト終了後に「私達もやってみよう」という流れになりました。

私の所属するデザインユニットでも「振り返りやってみてよかったよ」は共有してあったので、プロジェクトの終わりそうな頃に「振り返りやってみたら?」と提案したところ、前評判の良さもあり自然と受け入れてもらい、各メンバーがそれぞれのプロジェクトに対して提案をしてくれました。

実は…のネタバレ

実はこの振り返りの広がりは計算の範囲内で、どうすれば振り返りを浸透できるかを考えた行動の布石でした。

振り返り自体は別に真新しいものでもなく、何かを解決する銀の弾丸では無いです。

ただ、メンバー間でプロジェクトの進捗以外のコミュニケーションを取りやすくしたいと思ったのが目的でした。
そのためには、私のプロジェクトチームで完結するだけでは不十分で、社内の開発プロジェクト全体でこういった機会を作り自発的にチームが成長できる成功体験をしてほしいという気持ちからの行動でした。

広がった理由は下記の2つの要因が大きいと考えています。

振り返り参加者の成功体験
オンラインでできる振り返りのドキュメントの整備

振り返り参加者の成功体験

成功体験があれば、続けたいと思うのは自然なことです。
同じ職域のメンバーに共有したり、自分が入る別のプロジェクトでも同じことをしたい欲求を持つと考えていました。

この予想が見事的中し、バイラルのような広がりを持ち社内に見事浸透していきました。

オンラインでできる振り返りのドキュメントの整備

オンラインで開催することが決まっていた時点で、事前の共有情報ありきが前提になっていたので「絶対ドキュメント化して共有するぞ!」という強い意志がありました。

共有した情報はこちらです。

※今回の記事用に元のドキュメントの内容をコピーして一部社外秘の情報を削除して公開しています。

振り返り自体が初めてのメンバーもいたのでなるべく開始前から開催内容をイメージできるような情報共有をしたいと心がけていました。
そのため、miroの内容も事前に作った上で共有しています。

このドキュメントと振り返りボード(miro)を共有できたことで振り返り開催のハードルが格段に低くなり、「やってみよう!」という人達が増えて見事目的を達成できました。

UXデザイナー ヒラノ爆誕の瞬間です。
※私はUX領域を専門に扱っていないので普段はUIデザイナを名乗っています。


最後に

過去に自分が前職などで関わったチームを思い返すと、もっと強いチームはたくさんありました。
しかし、仮にそのチームがベルフェイスにあったとしても崩壊ないし、弱体化するような気がしていますのでメンバーの質が悪いとは思っていないです。
弊社のいくつかの開発チームの成熟度でいえば未熟な部分が多いと思っていますが、持ってるスキルやマインドセットは上等な方々が多いと感じています。

今の自分の感覚でいうとスキルもマインドセットも変わらないけど、環境が変わるとアウトプットが変わるので、どうやって過去の自分に近づけて今必要なものをこのチームで作り出すかみたいな楽しみ方をしていてDr.STONEの世界に飛ばされたような気持ちです。

今回の振り返りの導入のように、小さなきっかけですぐにより良いチームに変化していくのは見ていて気持ちが良いです。

現在私のいるデザイナのチームでは特にデザイナのマネージメント領域に強い方を募集しています。
ご興味ある方は下記よりご連絡をいただければと思います(*ゝω・*)


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