秋の風

この頃ようやく秋らしくなってきた。

私は北国の出なので、冬といえば「雪が積もる季節」と認識している。故に関東の冬はどうも冬と認識し難く、やけに寒く長い秋のように思える。
が、あれには秋特有の心地好い寂しさのようなものがない。何故か?

過ぎたる夏の余韻を感ぜられなくなるからだろうか。もはや夏の次の季節ではなくなり、数ヶ月に渡る荒涼に身を投ずるのだと知れる、その気分の問題であろうか。或いは単に、季節毎の匂いに左右されているだけかもしれないが。

何となし、秋と夕暮れとは似たような心地がする。恐らくは両者とも時間の短さに依るところが大きく、相反する長い時間の転換たる狭間としての役割が、この両者を特徴付けている。
仮に夜が一晩中夕暮れだったとするならば、あきが来てしまうというものだろう。

なるほど、「秋は夕暮れ」だ。



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