見出し画像

古民家に住んでいる話 13

ゾ邸でBBQをやったのでその話を書くが、今回は登場人物が多い。以前書いた住人の分も含め先にまとめておく。

俺・・・ミゾヲチ。ゾ邸の主、基本和服。フリーター。創作分野は絵、小説、漫画等。

ヒカル・・・住人。寮で後輩だった。大学休学中で事実上フリーター。一応小説。

ヒトケン・・・住人(庭師)。無職、元自衛官。絵、漫画、ゲーム等。

Prea・・・住人(料理人)。無職。

風兎・・・フォロワー。秘封勢、ITエンジニア。ゾ邸は引越し手伝い、即ち入居初日から訪れている。創作は小説。

化学魔・・・フォロワー。京大の大学院中退のプログラマー。今回は最年長。一次の小説。

上野・・・高校の同期。銀行員。かなりガタイが良い。ミリオタの1種。

ムサシ・・・高校の同期。医療職。高校では空手部で一緒だった。

クマ・・・高校の同期。理系大学生。メンタルが極めて特異且つ不安定な害獣。


画像5

この家でBBQをやろうという話は割と前からあった。大家さんが持っていたBBQ用コンロを借り、夏頃縁側にでも腰掛けて肉を食おうというもので、俺の高校の同期2名が7月の四連休中の何れかにやってくる予定だった。同時期に化学魔さん(以前IQの記事で触れた。来訪は初)も泊まりに来る事になり、どうせならBBQ会に参加するかという話となった。そして化学魔さんが来るなら、と風兎氏(以前1泊した)も参加する事になった。更にはBBQ会の2日前に新宿で会ったクマも誘い、俺を含む住人4名+来客5名という大所帯で肉を食う事になった。ただしクマは出不精にして甚だ不安定な奴なので、一時間半もかけてわざわざ来る可能性は低いと思われた。

7/25夜にBBQ、そのまま泊まり翌日適当に帰るという日程になった。ただ、新宿でクマと会った7/23の夜に化学魔さん達とのDiscordでの通話にて、7/24も空いてるからというので化学魔さんと風兎氏の前日入りが決定。


7/24午後、既に2度訪れている風兎氏が化学魔さんを連れやってきた。俺は丁度縁側で一服していた。以下、画像内の顔は隠す。

画像1

ある程度家を見せ、縁側でヒトラーの持病の話をした後、ヒカルを加え応接間でエスプレッソを飲んだ。この日は住人のヒトケン氏とPrea氏がまだ旅行中だった為久々に俺が煎れた。モカエキスプレス、煎れ易い。

画像4

俺もヒカルも、そして家に着いてからさっさと着替えた風兎氏も甚平だった。種類を問わず和服がこの家での正装である。

画像2

応接間の「大正~昭和頃の間違った西洋観」というコンセプトを一目で理解して笑っていたのは流石化学魔さんだと思う。

この時の話題は応接間のセンス、小説、メガテン等であったと記憶している。ヒカルは化学魔さんと小説の話をしていた。


あっという間に夜になる。化学魔さんと風兎氏はこの家に来る前にスーパーで食材を買って来ており、晩飯は化学魔さんが作る事になった。客に飯を作らせるとはどういう事かと我ながら思うが、化学魔さんが和食を作れるというのでそれを食ってみたかった。

画像3

美味かった。自他ともに意外ながらも酒に弱い俺を除く3名は日本酒で1杯やっていた。

晩飯を食いながら、先日給付金で買った65インチTVでAmazonプライムにあった小林正樹『怪談』を観た。

画像6

小泉八雲の小説を映画化したもので、俺と風兎氏はその方面の知見が少なからずあった。知見のある人間と語らいながら映画を観るのは実に楽しい。その後ニコ動のゆっくり動画を適当に眺めていた。ここでアシモフの『黒後家蜘蛛の会』シリーズを知り、早速Amazonでポチった。

夜も更け、その日はそれで終わりとなった。風兎氏は俺の部屋の隣の八畳間で、化学魔さんは居間で寝る事になった。俺と風兎氏はかなり遅くまで語らっていた。


翌7/25は昼頃に起きた。

画像7

昼は適当に蕎麦を茹でて食った。その後深夜の内に帰ってきていたゾ邸珈琲担当大臣ヒトケン氏が煎れた。

画像8

Prea氏も帰ってきてはいたが、長野旅行の往復を運転していた疲れか部屋で寝ていた。というか、今回の2泊3日のオフ会ではさほど積極的に参加していない。

14時頃、ヒトケン氏の運転する軽バンに俺と風兎氏が乗って出かけた。最寄り駅に着いた上野を拾い、そのままドン・キホーテで肉類等を買ってきた。示し合わせた訳ではなかったが、上野も甚平を持参していた。わかってるじゃないか。まあ2回目の来訪だしな。

上野と化学魔さんは2日間で中々打ち解けていたようである。法律に詳しい化学魔さんと国際法のゼミにいた上野は話が合いそうだとは思っていたが、思った以上に盛り上がっていた。

16時、予想に反しクマがやってきた為再び軽バンで拾いにいった。性質の特殊性にしても滅多に現れない事からしてもはぐれメタルのような奴で、高校の頃同じクラスだった上野もクマと会うのは6年ぶりとの事だった。今は院試の勉強中らしい。


雨が降ったり止んだりと不安定な天気だったが、軒下でBBQを始める事にした。チャッカマンを買い忘れていた為風兎氏が買いに行った。BBQの着火は他に経験者がおらず化学魔さんがやった・・・・・・つくづく人任せなゾ邸の主である。

画像9

辺りで蚊取り線香を5個焚いて結界を作り上げ、遂にBBQが始まった。

画像10

左からクマ、風兎氏、ヒトケン氏(ロシア・ソビエト趣味)、上野、化学魔さん。クマは応接間にあった酒を勝手に飲んでいた。何かBGMが欲しかったので俺が部屋からラジカセを持ってきたが、カセットテープで何か聴こうとなるとどうしたってやたら古い曲ばかりになる。ロシア民謡、村下孝蔵、井上陽水等。下ファイルはその様子。

令和2年らしからぬ光景だ。


日が沈み、ようやく最後の来客者ムサシがやってきた為またまた軽バンで回収しに行った。ヒトケン氏お疲れ。ムサシは俺の友人の中では極めて少ない陽キャに分類される人種で、言葉よりは拳で語り合う方がよく通じ合える。後で半裸で(暑かったんだよ!)関節技や肩パンをやっていたら風兎氏に迫真空手部と呼ばれてしまった。そのケはないぞ。Twitterで俺と出会った人間は、俺の交友関係にあるとは思えない(らしい)タイプの人種が出てきた事が意外だったようである。

ムサシに俺の部屋を見せたらビビっていた。

画像13

「ウン。イイ部屋ダト、思ウヨー。デモ、俺ハ、イイカナー」等と棒読みで言っていた。


とにかくこれで今回の来客者5名が揃った。時間当たりの肉生産率が追いついていないBBQコンロに加え、台所でヒカルが肉料理や炒飯を作り始めていた。例によって俺はさしたる手伝いはしていなかった(一応終始何もしなかったわけではないぞ)。

画像11

風兎氏を除く8名が喫煙者であった為、ゾ邸経費で買ってきたカートンのピースライトがどんどん減っていった。化学魔さんからの土産のキャスターとピースも数箱あったが、この人数ではまるで足りなかった。

肉を食っている間は、同高校出身のメンツで思い出話に興じており、やがて俺が卒アルを持ってくるに至っては同窓会の体そのものであった。

野球部出身の上野、空手部出身のムサシ・俺を除き次第に満腹になり応接間へと離脱していった。いやはや食った。この頃にクマが1人で帰宅していった。気まぐれな獣である。

この頃、廊下にゴキブリが1匹出た。ゴキブリ担当大臣のミゾヲチがスリッパによる一撃で以て絶命せしめた。北海道から引っ越して来て短い上野などは初めて見たと言っていた。道民はゴキブリに対する忌避感があまりない。蚊は許さないがね。

一段落してからは、風呂を沸かし順次適当に入り始めた。その間、居間のPS4に上野がログインしてSEKIROをやっていた。人がゲームしている様を眺めるのはかなり久々だったが、難易度の高いゲームならば観戦に準じるぐらいが丁度いいのかもしれない。65インチに最新のゲーム機を繋げると中々良い迫力になる。風兎氏は畳の上で寝落ちしていた。

靴箱をまだ買っていない為、ただでさえ靴が多い玄関が葬式でもやっているのかという状態になった。今度用意しよう。

画像12


大家さんが出掛けていたのもあり、2日目は概ね普通に騒いで終わった。上野に腰を入れたパンチのやり方を習得させ、自衛隊の徒手格闘と伝統派空手における逆突き(右ストレート)の違いとその理由について等話していた。

寝床については、初日同様風兎氏が八畳間、化学魔さんが居間なのはいいとして、来客用の布団がそもそも2セットしかなかった為、寝袋もあったが上野とムサシは応接間のソファで寝させる事にした。まあコイツらはここでよかろう。・・・というより、この応接間は寝場所として存外適している。2つあるソファの片方は背もたれを倒して広げられるし、この部屋は閉め切るとほぼ完全な暗室になる。真っ暗でないと寝られないタイプ(上野がそうだった)であればここがベストだろう。ムサシは相変わらず人形を不気味がっていたが、「俺の部屋で寝てもいいんだぞ」と言うと「素敵な応接間だなぁ!」と掌を返した。

俺と風兎氏は相変わらず深夜まで2人で語らっていた。


3日目は、概ね皆昼頃に起きた。前の晩に肉を食っていた為、あまり腹が減っておらず、応接間に集まってPrea氏のホットケーキを食べつつ珈琲を飲んでいた。人数が多かった為、珈琲はエスプレッソとブラジルのを同時に煎れて出した。

さて、最も楽しかったのはここからだった。後で考えると、昨夜のBBQは初対面の人間が打ち解ける為のレクリエーションだったと言っても過言ではない。

午後からの応接間での談論に参加したのは、ミゾヲチ、化学魔さん、上野、ムサシ、ヒカル、ヒトケン氏の6人。風兎氏も最初はいたような気がする。蓄音機からは不気味な曲が流れ続けていた。

話題は転々としたが、奇人変人、人格や精神病、IQ、戦争、投資信託・資産運用といったものが主だった(バラバラだなぁ)。奇人変人というのは俺がよく関わるフォロワーの話であったり、各々が大学等で出会った変人の事が多かった。精神病やIQに関しては、俺と化学魔さんはいつも通り知見を語らっていた(過去記事「IQに関する話」 https://note.com/contender41/n/n483db47bb103 参照されたし)が、ムサシの専門分野に関わる話でもあった為、ムサシ達への解説という体が強かった。寄生虫のような人格、精神病は感染するという話、重度の統合失調症の人間特有の空気感の話等。或いは共通の友人が中々の精神病患者であった事に驚いていた。戦争に関しては、俺が二つの大戦に関する知識しかなかった為、上野と化学魔さんが中東戦争の解説をしたのが主だった。俺はともかく、化学魔さんの知識の広範さに初対面の若者達が引っ張られ続けていた。また上野は投資(化学魔さんと共にヒトケン氏に解説していた)や戦争の話を得意とし、兵器に関する話については俺が主だった(パンジャンドラム、HEAT弾の構造、きのこ雲について等)。ヒトケン氏やヒカルは時たま口を開くが、聞いているだけの時間が大半であったように思う。ムサシは精神病に関するある程度の知識があった為その話題についてこれた。学歴はさておき、皆平均以上に知能を持った友人達である。

あれは、その場にいるだけで勝手に知識がどんどんインプットされていく場であった。まさしく俺が平生開くオフ会の拡大版のような形で、実に有益であった。普段は喫茶店で3、4人でやっていたが、自分の家の応接間を喫茶店と化す事でホームで開催できたのは大変喜ばしかった。参加者数名は帰宅後に知恵熱を出したとか言っていた。「アテナイのアゴラはああいう雰囲気だったのだろうか」

・・・・・・ムサシの存在は結構大きかった。ムサシは人の話を素直に聞く奴で、且つ初歩的で素朴な質問をする為にムサシに対し俺や化学魔さんが解説する形になった(素朴な疑問に答えるにはかなりの理解度を要するものである)事で他の全員が理解できるようになっていたという面がある。

広く浅い知識しか持たない人間が何人集まっても浅いままだが、狭く深い知識を持つ人間が集まれば集合知が発生する。それこそ俺が俺のコミュニティに求めているものである。放っておいても久々に会うと新たな知識をたっぷり持ち寄ってくるような人間が好きだ。


その後と言えば、俺とムサシが組手をする等適当に過ごした(広い畳の部屋があると空手経験者は体を動かしたくなる)後、晩飯前に解散した。各々翌日待っている仕事を思い出し憂鬱な顔をしていた。それだけ楽しかったという事だろう。ああいう知恵の場が初めてとなる人間にとっては中々衝撃的な体験であったのだと思う。俺も久々にあそこまで広く深い談論の場を得られて大満足である。今後も積極的にこういった会を開いていきたい。フォロワー諸君も楽しそうだと思ったら一度是非訪れるとよい。因みに3日間での煙草の消費量は計200本に至った。

然らば。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?