キングオブコント2022 決勝感想

OP
1組1組の要素をきちんと入れながらネタバレせずスタイリッシュにまとまっていて、何よりすごく格好いい曲に仕上がっていて良かった。
ただ、まだちょっとラップは大衆に馴染みきってない感じがするなあとも思った。

first stage

1.クロコップ
今年は準決勝を配信で見てたんだけど、ファイナリストの中でクロコップだけネタが配信されなかった(おそらくBGMの権利関係)ので、何気に一番楽しみだったのはここだったかもしれない。
すごく楽しいネタで良かったー。自分はリズムネタもアニメパロディ系のネタも好きなので余すことなく楽しめた。遊戯王も小さい頃毎週見てたしね。
BGMの使い方が完璧。こんなに演技がコテコテなのに冷めずに見られるのは音楽の使い方が上手いからだと思う。ボケのところはもちろん、そこ以外の部分もカッコ良くてネタに勢いを付けている。カードの効果でボケがどんどん変化するので最後まで飽きない。笑いの少ない説明の時間が、世界観のおかげでただの説明ではなく「デュエルの攻防」になっているからそこでクールダウンしないのもすごい。
自分の好きなカルチャーを、これだけ完成度高くコントに落とし込めるのはすごいなあ。最後のヘリも派手だし、ネタが一気に広がるしで良かった。
本来楽しさ全振りのネタというか、賞レースに向けて作られたコントではないような気がするので基本的にはこれでいいのだけども優勝するにはボケをもっと凝らなきゃいけないのかなと思った。

2.ネルソンズ
4位だったしそんなに悪い結果ではないんだけど、出順の早さもあって正直あまり印象に残らなかったように思う。
設定も和田さんのキャラも決勝にピッタリな華やかさで良いし、外したところも特になかったんだけど、今の高レベルなKOCだと優等生すぎる気がするなあ。
前半結構間を取るしボケ数が少ない割に、その1つ1つが強烈ってわけでもないからなー。今のKOCでこの系統で突き抜けるには、コットンぐらい詰め詰めで行かないとなのかな。
準決勝は盛り上がるところが悲しいBGMのせいで盛り上がりきらないように感じたんだけど、今回はレースの決着がついた瞬間BGMが止まっててそこは良かった。
あと二次会のとこも今までのネルソンズにない笑いで良かったな。

3.かが屋
今までのかが屋よりもかなり賞レース仕様のネタだと思う。キャラも強いし、明確にコントっぽいバラシや面白ワードがある。
良かったんだけど、かが屋はこういうことするには少しパワー不足では。いや十二分に決勝レベルだったし見劣りしてた訳ではないけれど、やっぱり自分の個性を突き詰めていかないと勝てないんじゃないかな。展開を作るコントにすれば可能性はあるかもしれないけど、かが屋はそういうタイプでもないしなー。
かが屋のコントは誰もボケず、日常のあるあるを描いているのに爆発力があるところが好きなので、今回のネタは賀屋さんがかなりボケっぽくなっちゃってるのがあまり好みではなかった。

4.いぬ
ここは1st1位になると思ってたんだけどなー。準決は会場が真っ暗でとても広い上に、最初のボケから照明での演出があって、すごく「変な夢」感があって異質で面白かった。でも今回は初っ端のキスに特に演出がないから、「普通の馬鹿馬鹿しいボケ」の範疇で収まっちゃうよなあ。そうするとおばさん側からキスするパートが単にダレてるように見えてしまうし。あと「キスをする」って事象が案外普通に受け入れられてしまったのも、抜きん出る要素になれなくて逆にマイナスだったように思う。最後のアイリスアウトも準決だと完璧に決まってたんだけど…。これだと点伸びきらないよなあ。惜しい。

5.ロングコートダディ
今回の決勝で1番好きなネタだった。ポップで馬鹿馬鹿しい天丼ネタなのに、ただポップなだけじゃなくて2人のキャラや感情がすごくリアルで掛け合いが魅力的。こういう天丼ネタって不条理になりがちで、それ故に間口の狭いものが多いけど、このネタは兎さんのキャラがあるからあまり人を選ばないネタになってると思う。ボケの馬鹿馬鹿しさだけでも十分面白いけど、ツッコミのヤキモキした感情が乗っかってるからさらに面白くなる。帽子が落ちる面白さに、スポットライトと銅羅で派手な追い討ちが入るのが最高。最後の一捻りも完璧で、1位になったと思ったんだけどな…。
まあ2つの要素が入ってる分、「良さが2種類あってすごい」と感じるか「中途半端だな」と感じるかははっきり別れるのかな。それで今回の審査員には後者が多かったということなのかなと思った。うーんいやでも、両立しにくい2つの要素を混ぜ込んであれくらいのバランスに落とし込めるのはやっぱりすごいよ。

6.や団
準決勝で見た時は伊藤さんの演技と中嶋さんの狂気的なキャラに惹き込まれたんだけど、決勝の明るい舞台で見るとなんだか迫力が数割減で見えてしまった。
伊藤さんの演技に説得力がある良いネタだし、「伊藤さんが怖い」ってだけじゃなく「中嶋さんが頭おかしい」って要素を加えてるから普通のコントより一段上の出来になってると思う。トリオであることをちゃんと活かしてるネタ。ただ暫定1位は正直意外だったなー。キャラが薄くて怖いコントは決勝だと評価されにくいイメージだった。

7.コットン
こういう設定はチョコプラのポテチを連想してしまうんだけど、設定の馬鹿馬鹿しさと小道具の馬鹿馬鹿しさの2つの要素があるポテチと比べると設定がちょっとブラックな分個人的には少し笑いにくくてね…
優等生的なコントだけど、もう全く隙がないよね。最初から最後まで拍手笑いを誘発させる構成も、きょんさんの演技も。この系統でKOCを狙うならこれくらい完成度が高くないとダメなんだな。
コットンが、ネタに外連味を出すのではなく、技術と完成度をひたすら上げるという方向性に進化したのは個人的には寂しい。

8.ビスケットブラザーズ
2年前から評判になってたネタなので、やっと決勝の舞台で見ることができて嬉しかった。キャラの濃さに目が行きがちだけど、意味不明なワードや馬鹿馬鹿しい伏線回収がとても強いネタ。5GAPに昔ながらのコントで決勝行って欲しいと思ってたけどこれを見ると厳しいかもな…。

9.ニッポンの社長
ここが最下位になるとはなー…。ストーリー性や演技などの加点要素があまりないネタなので、みんなウケたら埋もれるかもとは思ってたけど…。3年連続決勝でこれはしんどいな。
個人的にはケンタウロスやバッティングセンターより好きな構成。この2本は同じボケがネタ中ずーっと続いてるようなものだから途中ダレちゃう時間があるけど、このネタはフリとボケがハッキリしてるからそれがない。それでいてフリの時点からクスクス笑いが起こる作りなのも良いし…。まあ決勝だと評価されないのもわかるなあ。終盤とかいかにも審査員ウケ悪そうだもんな…。

10.最高の人間
2人の強烈なキャラクターと発想力がよく出てるコントで、方向性はとても好き。吉住さんの「逃げて」が面白くて、そこからどんどんギアが上がっていくと良いんだけどそうならなかったなあ。巨匠の寿司屋にも感じたことだけど、設定を口で説明している感じが強くてイマイチ躍動感が出ないんだよね。
でも爆弾の下りとオチはすごく好き。ゴールデンで、KOC決勝で、あんなブラックなボケをするコンビが他にいる!?ただオチの演出はもっと派手にして欲しかったなあ。チープさを出すためにあえてああいう風にしたのかもしれないけど。

final stage

1.や団
コットンと同点だったけど、どういう理由でや団が先になったんだろう。
や団の中で一番好きなネタなので決勝で見れて嬉しかったー!や団ってキャラが薄くて脚本で見せるコンビだからどうしても地味になりがちなんだけど、このネタはキャラも演出も派手でいいと思う。ポップな派手さじゃなくて不穏な派手さなのも3人に合っていて好き。後半の伊藤さんと中嶋さんの暴走がめちゃくちゃ面白い。1本目よりわかりやすいし展開も多いし良かったんじゃないかな。数年前に初めてこのネタを見た時から、どうしてこれがもっと話題にならないんだ!?俺がズレてるかな…というモヤモヤした気持ちを抱えてたので、決勝で評価されてとても嬉しい。飯塚さんがベタ褒めしてたのも嬉しい。

2.コットン
ABCと同じネタだったけど、ABCの時よりだいぶ改良されてた。
1本目と同じで、盛り上げ方ときょんさんの演技がすごく上手だなーという印象。最後は流石にベタだと思っちゃった。終盤にBGMを流す演出がビスブラと被っていたのもあるけど。

3.ビスケットブラザーズ
良くも悪くもごちゃごちゃしたネタだからどうなるか不安だったけど、良いウケ方しててホッとした。今年のビスブラはキャラだけじゃなくて展開のスピード感が凄かったな。終盤不条理から急に現実に戻っちゃって一瞬不安になったけど、オチで爆笑をとっていて安心。

優勝はビスケットブラザーズ!異論なしです!おめでとう!


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