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高校数学【確率分布・正規分布】 〈5〉 二項分布

 「数学B」分野のうち、【統計】分野について解説します。
新課程では必須の学習内容ですが、まだまだ高校での指導方法が確立していないんだよね。
 では、端的に、わかりやすく、解説していきましょう。
 ここからは、分布とその性質です。まずは、〈二項分布〉です。

〈二項分布〉

・これまで学んできた通り、「確率分布」を作るところからが始まりでした。ただ、例えば、袋の中から玉を取り出し、また戻すといった反復試行では、事象の起こる確率をp、回数を n回とすると、
 P(x) = nCr・p^r・(1-p)^(n-r)
の形で求められますし、これは、全ての反復試行で成り立ちます。
・そこで、反復試行によってできる(確率の表=確率分布)を、「二項分布」と名付けます。
・「二項分布」を記号で表すと B(n、p) となります。このときのnは、反復の階数、pは事象の起こる確率です。
・「二項分布」では、
 平均         :m = np
 分散         :σ^2 = np(1-p)
 標準偏差:σ = √np(1-p)

で求められます。

[例題]
・赤玉3個、白玉2個が入っている袋から1個取り出し、色を確認してから元に戻します。この試行を100回繰り返します。(反復試行)
・赤玉の出る回数をXとして、回数Xの確率分布を考えていきます。

[解法]
① ターゲット事象(赤玉が出る)確率: p = 3/5
② 排反事象(白玉が出る)確率            : 1-p = 2/5
③ 「確率分布」= 「二項分布」の表は、
       X | 0                                                | 1                                             | 
       P | 100C0・(3/5)^0・(2/5)^100| 100C1・(3/5)^1・(2/5)^99|
       ・・・・・
       X | 99                                             | 100                                                | 
       P | 100C99・(3/5)^99・(2/5)^1| 100C100・(3/5)^100・(2/5)^0|
 のように、101通りの確率の表となります。
 しかし、前半までの公式で平均や標準偏差を計算することは、101個の足し算や掛け算をすることになり、短時間では不可能です。
 回数が多い場合は、ぜひ、二項分布であることに気づき、③の公式に進みたいところです。 
③ 「二項分布」となれば、n=100、 p = 3/5、 1-p = 2/5 なので、
 平均        :m = np = 100*3/5 = 60(回)
 分散        :σ^2 = np(1-p) =  100*3/5*2/5 = 24 
 標準偏差:σ = √np(1-p) = √24 = 2√6(回)

[Method]
(試行を繰り返す=反復試行)が題材 = 二項分布
 というイメージでいいでしょう。
(多くの対象を調べる)が題材 = 二項分布
 例えば、工場の製品の不良品率、アンケート結果などは、試行を繰り返すわけではありませんが、「検査・調査対象を1つ1つピックアップしてはチェックする」を繰り返しているので、反復試行の確率同様に考えることができ、二項分布となります。
 こちらの出題が圧倒的に多いのが、本分野の特徴でしょう。




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