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【事業再構築補助金】SWOT分析(新規事業)

こんにちは。東京のコンサルタントです。

このシリーズではご自身で事業再構築補助金の事業計画書を書かれる方に向け、採択されるための書き方やテクニックを解説しています。

 さて、今回は、前回に引き続きSWOT分析の解説です。前回は既存事業のSWOT分析でしたが、今回は新事業のSWOT分析について解説したいと思います。前半部分は前回の記事と重複する内容となりますので、前回の記事をすでにご覧の方はテンプレートまで読み飛ばしていただいて構いません。


1.SWOT分析とは?

 SWOT(スウォット)分析は会社および事業を評価する際に用いることができるフレームワークです。その名前は「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)」、「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」の頭文字からきています。内部環境と外部環境をそれぞれプラス要因とマイナス要因(好影響と悪影響)の2つの軸で分析する手法で、2×2の表の形で表現することができ、事業の分析を読み手にわかりやすく表現することができます。内部環境とは主に自社がもつ資産やブランド力、技術などのことで、外部環境とは市場トレンドや競合他社のことを意味します。SWOT分析では内部環境のプラス要因を「強み」、マイナス要因を「弱み」とし、外部環境のプラス要因を「機会」、マイナス要因を「脅威」と定義し分類します。以下にSWOT分析イメージ図は以下のとおりになります。

SWOT分析イメージ図

2.公募要領の解説

 現在公開されている事業再構築補助金の公募要領(第10回)のp41の「1:補助事業の具体的取組内容」で強み・弱み、機会、脅威を具体的に記載してくださいと、まさしくSWOT分析を行うように述べられています。

公募要領(第10回)P41-10.事業計画作成における注意事項

また、事務局から「良い事業計画書の作り方が分からない」という方向けに事業計画書作成ガイドブックというものが公表されています。以下の画像はそのガイドブックからSWOT分析に関して言及されているところを抜粋したものです。

事業計画書作成ガイドブックp11
事業計画書作成ガイドブックp14

このガイドブックを見たらわかるように、事務局側もかなりSWOT分析を推奨しています。事業再構築補助金の事業計画書において、「強み・弱み」の分析を行うのにはSWOT分析を行うことがセオリーとなっているので、必ず記述するようにしてください。

3.「SWOT分析」のテンプレート

新事業のSWOT分析の例を示します。例として個人で経営している居酒屋がテイクアウト事業を始める場合を想定することとします。

 新事業の強みは既存事業とのシナジー効果による、収益性の高さです。既存事業の居酒屋事業と原材料を一括して大量に仕入れることができるため、原材料費を低くすることができます。また、夜の居酒屋だけでなく昼も営業することで、1日を通して収益をあげることができます。一方、弱みはテイクアウト事業は未経験のため事業ノウハウがないことです。この弱みは外部パートナーの助言を得たりすることで向き合っていきます。また、認知度の低さに関しても地元住民や既存顧客に集中的にPRすることで向き合っていきます。

4.新事業のSWOT分析のポイント解説

 新事業のSWOT分析を書く際のテーマは「既存事業とのシナジーを押し出す!」です。
 新事業のSWOT分析のセクションでは、上記のテンプレートのように表を作成し、「強み」「弱み」「機会」「脅威」をそれSぞれ2〜3個程度箇条書きで書くようにしましょう。表の形で作成することで、一目でわかりやすくなります。また、既存事業のSWOT分析と形式を統一することで比較しやすくなります。機会・脅威に関してはインターネットを検索して出てくるもので構いません。ここで注意しなければいけないのは、それほど深刻でない脅威を選び出すということです。例えば、新たに始めようとしているテイクアウト事業の需要が低下していっているとします。どんな自社の強みや機会があったとしても、需要の低下という脅威を覆すのはなかなか難しいです。そうなると審査員の印象も悪くなり、採択率も下がってしまいます。ですから、致命傷にならない、いわば「あるある」のような脅威を書くようにしましょう。セオリーは競合他社の増加や、原材料価格の増加などです。
 強み・弱みは自社の内部環境についての分析ですので、重要度が高いです。表を作成したら、「強み」「弱み」に関しては追加で文章で説明しましょう。表の中に箇条書きしたものがタイトルで本文でその補足の説明をするイメージです。「強み」は既存事業を踏まえた上で、新事業がどのようなシナジー効果を有しているのかということです。シナジー効果とは、簡単にいうと複数の事業がそれぞれお互いに良い影響をもたらし合うことです。単純に新事業の強みを書くだけでは、どうしてその事業をわざわざ選んだ説明になりません。A事業でもB事業でもなくC事業を選んだ理由を示すために、シナジー効果をアピールするようにしましょう。方向性としては、新事業の強みが既存事業の弱みを打ち消すことができるという消極的なものではなく、既存事業の強みと新事業の強みが合わさって良い効果をもたらすという前向きなものにしましょう。
 また、「弱み」に関しては、既存事業のSWOT分析のものと同じく、①弱みと言っても、構造上妥当な(仕方ない)もの ②弱みを理解した上でどのように前向きに向き合っていくのか を書くようにしましょう。特に②に関して、弱みを分析し、それに関してどのように対応していくかということを記述できると実現可能性が高い事業計画だと判断されやすくなります。このセオリーは未経験のため事業ノウハウがないことや、認知度が低いことです。実際に対応できるかは別として、対応する体制は整っているということを審査員に伝えましょう。

5.おわりに

 前回の記事と今回の記事で事業計画書を書くにあたって必要となってくるSWOT分析について解説しました。
 SWOT分析を用いることで、既存事業の分析と新事業の分析という2つの内容に関してまとまりのあることを書くことができます。新事業を思いつきでなく分析した上でやろうとしていることが伝わると、審査員の印象も良いでしょう。特に、SWOT分析は事務局がプッシュしている手法ですのでしっかりと習得しましょう。