スーパーマーケット激動の年

2019年も早いもので3週間を過ぎました。このタイミングで飛び込んできたスーパーマーケット業界のニュースが岐阜のバローが三幸を買収という報道。富山の三幸さんは以前定期的に行ってお話をしていた時期があり、独立独歩の指向が強い企業であったので、びっくりしました。

バローといえば、昨年のクリスマスにアークス、リテールパートナーズとの売上1兆円連合の提携が業界をざわつかせたばかり。

最近お仕事をしているクライアントとの関係で、全国スーパーマーケットの経営者の話をお伺いする機会も多いのですが、業界での忘年会、新年会での一致した意見は「2019年は業界の再編・激変の年になる」ということ。

これまで「食品は地域性があるので、全国画一のチェーンは成り立ちにくい」「世界一鮮度にこだわる国民性」という業界の常識?のもと、他の小売業界に比べ、全国的なチェーン展開が遅れていたスーパーマーケット業界ですが、ついに、ある規模の売上を確保しないと、店舗過多、人口減、消費増税、デジタル化という危機を生き残れないという危機感が各社の経営者を動かしたのだと思います。

個人的には震災や天災の際真っ先に困るのが、いまやインフラとなったコンビニ、そして食品スーパーの営業が停止することであり、特に「地域の食のプロ」であれば、もっと食品スーパーの店長の社会的地位は高くてもよいと思いますし、実際米国では店長は「地域の名士」であり、年収も1000万円を超えることもあるそうです。

ただ、そのためには、キチンと地域のニーズをつかみ、またビジネス的にも利益をキチンと出す仕組みづくりがかかせません。現状をみると日本の上場スーパー44社の平均経常利益率は1.3%にとどまり、地方の中小スーパーではほとんど利益が出ておらず、幸か不幸か現金商売でキャッシュは先に入ってくるので、何とか生き延びているという状態の会社も非常に多い。

その中で規模を問わず、とことん考え、きちんと利益を得ているスーパーもあります。キーワードは「SPA化」「食のインフラという集客力を生かした収益確保」「デジタルシフト」ではないでしょうか。

SPA化でいえば、自ら牧場を持ったり、畑を持ったり、地域の漁師さんと専有契約をして仕入れたりする中小スーパーもあります。また集客力を生かした収益確保では、いわゆる「コト消費」としてバーベキューやイベントをとことん行ったり、店舗設置の自販機や、エンタメ機器による収益向上をしているところもあります。先日「やる気と感動の祭典」という中小スーパーの発表会を20年以上開催されている水元先生とお話をする機会がありましたが、彼らの取り組みはタイトル通り感動するレベルでした。

一方でデジタルシフトについては、米国のアマゾン、ウォルマート、中国のIT企業が続々とスーパーマーケット店舗を持ち出す中、2周回以上遅れだと感じますし、国内でも専門店等の他の小売業に比べ、厳しい状況あると感じています。自身の仕事上もスーパーの応援団として役に立っていきたいと思います。









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