建設コンサルタントとは何者か。現役の中の人が綴ってみる

「建設コンサルタント」

この単語を聞いて、何者なのか、何をする者たちなのか、分かる方は多くはないと思います。特にコンサルタントと付くと、いよいよ何やっているのか、なかなかわかりづらいですよね。

今回は、建設コンサルタントって何者なのかについて概論的な話を綴ります。

1.建設コンサルタントとは

結論からお伝えすると、建設コンサルタントは、「インフラ全般の技術的な支援を行うパートナー」と説明できます。

もう少し具体的に説明していきます。
僕たちは多くのインフラに直接的、間接的に関わって生活しています。

インフラ(インフラストラクチャー)とは社会資本とも言われ、河川、漁港、港湾、護岸、道路、トンネル、橋梁、上水道、下水道、排水路などなど、僕たちが日常を営む上で必要な施設を指します。
インフラが整備されることで、生命が守られ、良い衛生環境が維持でき、生活の利便性が高まります。

建設コンサルタントはこれらのインフラ整備のあらゆる段階で技術的な側面からお手伝いします。大まかには、企画、調査、測量、設計、維持管理になります。インフラ自体の建設は建設会社の役割になります(図1)。

建コン×流れ

図1 インフラ整備の流れと建設コンサルタントの関わり

お客さんは、国や都道府県、地方自治体が主になります。
建設コンサルタントは近年領域が広がりつつあり、民間企業とのおつきあいも増えてきています。

2.建設コンサルタントがいないとどうなるか

建設コンサルタントがいないと、どんな不都合が起きるのでしょうか。
それは、調査や設計、維持管理など、インフラの整備が適切に行えないことを意味します。例を列挙してみます。

・道路や橋梁が、崩落や通行不能になる
・各住宅や事業所に清潔な水が供給できなくなる
・汚水が適切に流せなくなり、浄化もされなくなる
・護岸、河川が災害時に破堤、決壊し、甚大な被害が発生する
・漁港、港湾、空港における移動や物流が困難になる

つまり、インフラが適切に整備されないことで、
・安全が確保できず、人命が脅かされる
・公衆衛生が確保できなくなる
・自然が保全できず、汚染される
・生活利便性が低下する
などのリスクが発生します。

上記のリスクを極力インフラを適切に整備、支援により解決することが建設コンサルタントの使命と言えます。

3.建設コンサルタントはどうして生まれたのか

インフラの整備を行う、と聞くと、どちらかと言えば国や都道府県、地方自治体などの行政が自前で行うものとイメージされた方もいるかもしれません。

実際、戦前は行政が行ってきた経緯がある一方、戦後の復興や各所でのインフラ整備の需要が高まりました。この需要に対応するため、行政のみならず、民間企業の協力を仰ぎ、インフラ整備を実施する方策を取り始めました。
これが建設コンサルタントのスタートと言えます。

戦前における生活基盤や産業基盤などの社会資本の整備は、内務省等行政によって直接実施されてきました。その中には勿論、企画、調査、計画、設計、施工など一連の業務が含まれています。
戦後復興のための社会資本整備に対する要求が高まり、その事業量が急速に拡大するとともに、一連の業務のうち企画を除いたものについて民間技術力の活用が始まりました。
(建設コンサルタンツ協会HPより引用:https://www.jcca.or.jp/work/introduction/history.html)

ここからは持論です。

インフラの整備には高い専門性が求められ、各施設によってさらに細分化されます。行政という立場で公務も行いつつ、これらの技術を習得することは中々困難でしょう。

加えて、高い技術力を持つ技術者を高額で常に行政内で抱えるよりも、困ったときに手助けしてもらう形態、例えば業務委託やCM等で対応することが行政としてもコスト面で都合が良いです。

このような背景もあり、建設コンサルタントが行政の技術的な支援の立場を確立したものと考えます。

4.まとめ

建設コンサルタントについてまとめると、以下の通りです。

Q1:建設コンサルタントは何をする?
A1:インフラ全般の技術的な相談事に乗るパートナー

Q2:建設コンサルタントがいないとどうなる?
A2:適切なインフラが整備できず、安全、公衆衛生、自然保全、生活利便性の確保が困難となる

Q3:建設コンサルタントは成り立ちは?
A3:行政の代行として、民間企業の技術力でインフラを整備する需要が高まったため

5.終わりに

インフラは「人間が人間らしい営むを送るための下支えをする施設」であり、僕たちの当たり前にある生活の維持に寄与しています。

そんなインフラを整備し、支援する建設コンサルタントは、みんなの当たり前の日常や風景を守り、支えているとも言えます。

それも建設コンサルタントの魅力の一つかな、と考えています。

最後までお読みいただきありがとうございます。
より具体的なこと、地方の建設コンサルタントの内情等について、またまとめていきますので、引き続き読んで頂ければ幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?