生地における油脂の使い分け
油脂の種類がお菓子の印象に与える影響について、私が洋菓子メーカーで行った研究に基づいたお話。
パティスリーで一般的に使用される油脂はバターですが、サラダオイルやオリーブオイルなども使われます。
これらの油脂にはそれぞれ特徴がありますが、冷蔵温度帯で固体なのか液体なのかが生地にも作用し、要冷蔵のケーキを食べた際に「口溶け」や「口当たり」に大きな影響を与えます。
固体となるバターを使用した場合はやや硬い印象の生地になりますが、
口内温度でバターが溶け柔らかくなる過程を感じることができます。これを「口溶け」と感じます。
一方、サラダオイルを使用した場合、冷蔵温度帯でも生地は柔らかく、「口当たり」が良い。
生地に練り込む油脂の量は6〜10%程度で、
クリームやムースと一緒に食べるため、油脂の風味はそれほど影響しません。
バターがいつも良いという考え方を捨てて、
口溶けと口当たりのバランスを調整することが大切です。