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#アルバム

最近聴いているアルバム2024.06

Pink Floyd 『Meddle』 (1970)私はこのバンドの特に『狂気』〜『The Wall』の4枚が大好きで、それらの音楽的完成度とストーリー性の両立は人間の仕業とは思えないし、Apple Musicのオールタイムベストの1位は『狂気』か『スリラー』以外あり得ないと思っていた(それが28位だったのを見て、2024年におけるこのバンドの影響力はかなり低いのだと思い知った)。 本作は「初めてクリエイティヴィティを獲得した」とメンバーが語っている通り、後の覚醒を予感さ

最近聴いているアルバム2024.03

今月も学生時代に聴いていた懐かしいアルバムを再訪。もう完全に懐古オジサンになってしまった。温泉に入りたい。 The Pale Fountains 『...From Across The Kitchen Table』(1985)元から持っていた独特なポップセンスと歌唱力を、より明るく軽快な方向に推し進めた2ndアルバム。「中途半端に成長した結果かつての良さまで消える」というのはインディロックによくあるパターンだけど、これは違う。翳のある文学青年が翳を保ったまま、世間のしがらみ

最近聴いているアルバム2023.02

Travis 『12 Memories』(2003)純朴なFran青年を怒りの淵に追い込み、落胆の底に突き落としたのは、イラク侵攻だった。初めての荒ぶる感情を筆圧の濃いペンに込め、灰色のメロディに託した。Andyのギターはかつてなく乱暴なプレイでFranに見事に応えた。怒りと祈りに溢れた素晴らしい力作。 ここでの目覚めがバンドを一皮剥けさせ一段上のステージに向かわせるかと思いきや、次の4年後のアルバムでは子供が産まれた喜びを素直に表現していた。あのアルバムでのFranは心か

最近聴いているアルバム2022.11

Deacon Blue 『Raintown』(1987)都市の生活者としての視点。洗練されきらない荒さ、初々しい希望、グラスゴー特有のソウル、粒揃いの曲たち。吐く息が白い早朝の旅立ち。Prefab Sproutと比較されることも多いけど、私は本作に関してはグラスゴーのThe Replacementsだとみなしている(特に『Let It Be』期)。とても真摯だしチャーミングだし、一定の層の人達にとってはたまらない作風。聴いていた時期が思い出に変わるタイプのアルバム。 Ch