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最近聴いているアルバム

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#TheCure

最近聴いているアルバム2022.11

Deacon Blue 『Raintown』(1987)都市の生活者としての視点。洗練されきらない荒さ、初々しい希望、グラスゴー特有のソウル、粒揃いの曲たち。吐く息が白い早朝の旅立ち。Prefab Sproutと比較されることも多いけど、私は本作に関してはグラスゴーのThe Replacementsだとみなしている(特に『Let It Be』期)。とても真摯だしチャーミングだし、一定の層の人達にとってはたまらない作風。聴いていた時期が思い出に変わるタイプのアルバム。 Ch

最近聴いているアルバム2022.06

The Cure 『Faith』 (1979) 自分にゴシックの美学を叩き込んでくれたアルバム。周りの人間が次々死んでいくが、自分にはなぜか死神はやってこない。ただただ死ぬまで生かされている。自分はどうすればいいのか?その苦悶が反映されている。私の中ではJoy Division『Closer』よりも高い位置に屹立する傑作。 Noah And The Whale 『The First Days Of Spring』 (2009) フロントマンの失恋(Laura Marli

2021年 ベストアルバム(旧譜) & がっかり新譜

昔から聴いてるけど今年特にたくさん聴いたアルバムを羅列。毎月書いている「最近聴いているアルバム」の年間アワードと言ってもよい。一年分の凝縮なので名盤ばかり。私の2021年はこれらによって彩られた。 普段は余計なことは書かないように努めているが、今回はたまには言いたいことを言ってもいいだろうと思ってそのまま投稿した。 The Cure 『Kiss Me Kiss Me Kiss Me』(1987)このバンドは陰陽を織り混ぜすぎた結果、明るい曲をやってもどうにも絶望が漂うよう

最近聴いているアルバム2021.08

Happyness - Weird Little Birthday (2014) 去年初めてこのアルバムを聴いてから、ずっと忘れられなくなって困っている。2014年のロンドン作品とは思えないほど、90年代前半のアメリカの光景がありありと眼前に広がる。出口の無い郊外に暮らす、怠惰で、自虐的で、諧謔的で、でもどこまでもまっすぐな瞳を持つ奴ら。10年代以降で最も気に入っている作品の一つ。2020年の3rd『Floatr』も素晴らしかったが、これはそれを上回る。本物の雰囲気を纏って

最近聴いているアルバム2021.03

Roxy Music - Avalon (1982) Bob Clearmountainによる1999年リマスターは非常に精密で劇的な変化を生む素晴らしいものであった。反して2015年東京でのDSDマスターカッティングは主張のキツくない上品でマイルドな音に仕上がっている。好みによるが、いずれにしても本作の内容が素晴らしい。ロック界においては、80年代は本物の審美眼とセンスを持ったプロフェッショナルの時代であり、90年代は本物のエモーションを持った一般人の時代だった。本作は前