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ミ・べモル サクソフォンアンサンブル 創立30周年記念 東京公演(2019/12/3)

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『ミ・べモル サクソフォンアンサンブル 創立30周年記念 東京公演』に伺いました。(2019/12/3@紀尾井ホール)

ミ・べモル サクソフォンアンサンブル(Mi-Bemol Saxophone Ensemble)は、代表を務めるサクソフォン奏者の前田昌宏さんの呼びかけにより1989年に結成されました。ソプラノ・アルト・テナー・バリトン・バス・さらに大きなチューバックスを加えた6種類のサクソフォンだけによる24名編成という大規模なアンサンブルです。大阪を中心とした国内公演のほか海外ツアーも重ね、世界中から絶賛されています。今回は創立30周年記念の東京公演として、日本を代表するサクソフォン奏者 雲井雅人さんをソリストに迎えて開催されました。

雲井雅人さんは国立音大を経てノースウェスタン大学大学院終了。第51回日本音楽コンクールおよび第39回ジュネーヴ国際音楽コンクール入賞。世界各地でのソロ演奏のほか「雲井雅人サックス四重奏団」を主宰、国立音大教授・相愛大学客員教授など幅広く活動されています。

プログラムは指揮者なしによるモーツァルトの「ディヴェルティメント K.136」で始まりました。女性奏者は全員赤いドレスでステージが華やかです。弦楽合奏で演奏される曲ですが、冒頭から柔らかで完璧にブレンドした響きに耳を奪われました。活き活きとした息遣いが印象的な第1楽章、ひそやかな表情の第2楽章、喜びに満ち溢れた第3楽章と続きました。

2曲目はブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」が、前田さんの指揮により演奏されました。オーケストラ演奏と比べても違和感を感じない多彩な音色です。前田さんは的確な指揮で緩急自在にアンサンブルを操り、変奏を重ねていくたびに繊細なニュアンスやダイナミックレンジの大きさ、驚くほどの響きの広がりを感じました。サクソフォン属だけのアンサンブルですが、まるで弦楽器やフルート、ホルンなどが聴こえてくるかのような見事なサウンドでした。

3曲目はグラズノフの「アルト・サクソフォンと弦楽オーケストラのための協奏曲」。指揮者なしでソリストの雲井さんが中央に立っての演奏です。雲井さんのソロは、柔らかくなめらかな音質でうっとりするような美音でした。伴奏のアンサンブルとの一体感・音楽的な対話・バランスも素晴らしいものでした。大きな拍手に応えて、アンコールにラロの「ロシアの歌」がしっとりと演奏されました。優しいメロディーが存分に歌い込まれ、とても感動的でした。

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休憩を挟んだ後半には、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」が演奏されました。前田さんの指揮により艷やかで練り上げられた美しいサウンドが広がりました。全4楽章が曲想ごとに丁寧に描き分られ、非常に音楽的に充実した演奏を厚いハーモニーで聴かせてもらいました。
メンバー全員が高い演奏技術を持つだけでなく、均質な音質と奏法により均整のとれたサウンドを実現されている素晴らしいアンサンブルでした。

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皆さんもぜひコンパスを使ってコンサートをお楽しみください!


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